パスネットの不思議


パスネットシステムは、20社局以上の鉄道事業者で使用でき、券売機に並んで切符を買う必要がなく、自動的に最低の運賃を計算し引き落とし、乗車の記録が残るなど利用者にとっては便利なものですが、加入している事業者間で運賃がきちんと配分されているか気になります。複数事業者にまたがる区間を乗車するときパスネットの計算通りに運賃を分配すると、乗客が利用しているのに運賃収入が得られなかったり、逆に利用していなくても運賃の分け前に与る事業者がでてくるからです。この問題は、鉄道路線のネットワーク密度が高く、相互乗り入れ等により事業者間の補完関係が見られる首都圏の鉄道運賃体系を見直す一つのきっかけになると思います。
目次
運賃収入ゼロ
運送せずに運賃収入
  • 表1 浜田山・二重橋前間の経路
  • 首都圏の運賃体系を見直すきっかけに
    運賃収入の配分は
    追記1 東武北千住問題は将来東急でも
    追記2 最低運賃を引き落とさない例
    追記3 東武とメトロの精算
    追記4 PASMOデビュー
  • 表2 常磐線亀有・取手間/中央線高円寺・三鷹間の相互間の運賃
  • 表3 北千住・西日暮里間通過連絡運輸の運賃比較
  • 追記5 PASMOの約款
    追記6 千代田線西日暮里経由の100円割引の適用区間
  • 表4 通過連絡運輸適用区間とSuicaの100円割引区間
  • 環状線部分の運賃計算及びう回乗車の取扱
  • 東京メトロ・都営乗継運賃割引の推移
  • 東京メトロ・都営通過連絡定期券発売区間
  • 首都圏の鉄道事業者の乗継割引対象区間
  • 首都圏乗継割引設定全区間
  • 同一事業者の路線間の乗継割引

  • 運賃収入ゼロ

    2002年11月9日付朝日新聞夕刊に「東武新線、乗り入れ誤算」という記事が掲載された。要旨は次のとおりである。
    2003年3月、東武伊勢崎線が押上まで延伸開業する半蔵門線に乗り入れる。北千住−大手町間を乗車する場合、東武の北千住−押上間160円と営団(現東京メトロ)の押上−大手町間の160円、合計320円の運賃を払わずに、千代田線経由の営団運賃190円だけで乗車できてしまう。パスネットでは、制度上、複数経路がある場合最も安い運賃経路を使ったとみなし運賃計算をするので、東武は常に損をしてしまう。そこで営団との間で運賃の配分を交渉したいとの意向だが、「営団の理解が得られるかどうか・・・」
    2003年3月19日、営団半蔵門線が延伸開業、東武伊勢崎線と相互乗り入れを開始し、この問題が顕在化した。当日パスネットで北千住−水天宮前間を往復した人の報告によると、パスネットの印字は次のとおりだったという。
     319    北千住13  EI押*70
     319 営   押上14  水天*54
     319 水天宮前16 TB北*35

    往路は押上で途中下車しているので、東武の北千住−押上間160円と営団の押上−水天宮前間160円が引き落とされた。ところが、水天宮前から北千住まで乗りとおした復路は、190円しか引き落とされていない。水天宮前−北千住間の営団経由の最低運賃経路である、水天宮前(半蔵門)三越前(銀座)上野(日比谷)北千住間9.5キロ[1]の運賃190円を引き落としたものである。 パスネットの下車駅表示が[TB北]、すなわち東武北千住となっているにもかかわらずである。パスネットは、複数の事業者の路線を経由する場合でも、乗降駅間の最短運賃経路で乗車したものとして、運賃を引き落とすシステムになっているためだ。

    朝日新聞の記事に戻ると、北千住駅に千代田線との間に中間ラッチを設ければ、大手町まで千代田線経由で乗車したかが判別できるが、それは旅客の便宜を損なうのでできない、と書かれていた。 しかし、この問題はたとえ営団千代田線と東武の間に中間ラッチを設けても解決しない。問題は、東武が北千住で日比谷線と乗り入れし、更にその先の押上で半蔵門線と乗り入れていることにある。北千住駅で営団千代田線と東武の間に中間ラッチは設置できるが、相互乗り入れをしている東武線と営団日比谷線の間に中間ラッチを設けることはできない。

    千代田線との中間改札を設けても、営団各駅から北千住まで、日比谷線を経由してノーラッチで乗り継げるから、パスネットに千代田線との中間ラッチを通過した記録のない旅客がみな半蔵門線・伊勢崎線を経由したとして、押上−北千住間の運賃を徴収するわけにはいかない。先ほどの例で、水天宮前から北千住まで、最短運賃経路で乗車すれば、三越前と上野の両乗換駅がラッチ外接続なのでカードに記録が残り、このルートを経由したことの証拠になる。しかし、記録がない場合でも、水天宮前(半蔵門線)大手町(東西線)茅場町(日比谷線)北千住のようなノーラッチルートを通ることが可能であり、パスネットシステムは、このルートを排除することができない。


    運送せずに運賃収入

    複数の事業者の間の最短運賃経路の計算にあたって、パスネットシステムは、次のように一般には考えられないルートを選択することがある。その結果、実際に運送を行っていない事業者が運賃の分け前に与るケースが生じる。

    京王井の頭線浜田山から営団千代田線二重橋前までの経路を「スパなび」で探索してみた。得られた経路の運賃、所要時間、乗り換え回数は次のとおりである。
     

    浜田山・二重橋間の経路
    経路 運賃 所要時間 乗換
    (1) 浜田山−下北沢(京王)/下北沢−代々木上原(小田急)/代々木上原−二重橋前(営団) 450円(京130+小130+営190) 38分 1回
    (2) 浜田山−明大前−新宿(京王)/新宿−霞ヶ関−二重橋前(営団) 340円(京150+営190) 43分 3回
    (3) 浜田山−渋谷(京王)/渋谷−表参道−二重橋前(営団) 340円(京150+営190) 45分 2回

    (1)のルートは運賃は他のルートより90円高いが、1回の乗換ですみ、時間的にも最短であるから、一般に使われているだろう。 浜田山で乗車券で入場し二重橋前で精算すると、合計運賃は上記の計算通り450円となる。しかしパスネットで乗車すると、40円安い410円を引き落とすはずだ。パスネットは、京王(浜田山−新宿)150円+都営・営団(新宿−二重橋前)260円=410円と計算する。この運賃収入を計算経路どおりに分配すると小田急は運賃収入がゼロで、旅客が乗車していない都営地下鉄が運賃の分け前に与ることになる。

    パスネットが最低運賃経路で運賃を計算するシステムであるといっても、やみくもに最低運賃経路の運賃(浜田山−二重橋前間の最低運賃は、上表(2)、(3)の340円)を引き落とすわけではない。 あくまでも、乗車した可能性のあるルートの中での最低運賃ルートである。実乗車ルートの下北沢で京王から小田急への乗り換えは中間ラッチがなく、代々木上原では、小田急と営団が相互乗り入れを行っている。ラッチ外の乗換えがないから、パスネットの券面には、浜田山の乗車と二重橋の下車しか記録されない。(2)、(3)の新宿や渋谷での乗換はラッチ外であり、その時点で運賃が引き落とされ、券面に表示されるから、新宿または渋谷を経由した可能性は排除される。

    パスネットが適用した、京王・浜田山-都営・新宿−営団・二重橋というルートは、ラッチ外に出ずに乗車可能なのだ。京王と都営新宿線は、新宿で相互乗り入れをしている。都営・新宿から営団・二重橋までは、都営と営団を白金高輪で乗り継げば(たとえば、新宿−神保町−白金高輪−溜池山王=国会議事堂前−二重橋前)、著しいう回経路となるがラッチ外乗換なしで乗車可能である。このとき、都営・営団の乗継運賃は、実際の乗車経路にかかわらず、乗降駅間の最短運賃経路による営団と都営の運賃の合算額から70円を割り引くから、260円となる(たとえば、新宿−市ヶ谷(都営・170円)+市ヶ谷−二重橋前(営団・160円)−70円=260円)。

    パスネットシステムは、旅客が二重橋前の自動改札に浜田山の入場記録しかないカードを投入したとき、新宿、白金高輪経由で京王・都営・営団を乗り継いだ可能性を排除できない。したがって、乗車した可能性のあるルートの中の最低運賃ルートとして、浜田山(京王)新宿(都営・営団)二重橋前間の運賃を引き落とすのである。

    次も乗車券を購入したときとパスネットと運賃が異なる例である。東急と営団は3箇所で相互乗り入れを行っているので(将来は、渋谷での東横線と13号線の相互乗り入れで4箇所になる)、状況は複雑である。大手町から半蔵門・田園都市線で溝の口まで乗車するとき、
    (1) 券売機で連絡乗車券を買うと、渋谷経由で410円(営団分190円+東急分220円)
    (2) 営団の乗車券で入場し溝の口駅で精算すると、経由選択の問合せがあり、渋谷経由を選択すれば、同じく410円
    (3) パスネットカードで、大手町で入場し、溝の口で出場すれば、390円(営団分190円+東急分200円)が引き落とされる。

    営団から東急にノーラッチで乗り継ぐ場合、乗車券では精算の際、経由駅(渋谷、中目黒、目黒)を確認した上、実乗車経路の運賃を徴収する。しかし、パスネットシステムでは、乗降駅間の最低運賃経路で計算するので、中目黒経由のルート(大手町−霞ヶ関−中目黒−自由が丘−二子玉川−溝の口)で運賃が計算される。 これは、東急のウェブサイトでも「田園都市線渋谷・東横線中目黒・目黒線目黒から営団地下鉄へそのままご乗車になる場合、運賃は最も安いルートで計算します。」と示されている。

    次のケースでも、実際に運送した事業者が運賃を取りはぐれ、運送していない事業者が運賃を徴収できる。
    (1) 営団・東急(半蔵門・田園都市線)渋谷駅で入場し、営団・東急(南北・目黒線)目黒駅で出場すると、東急(二子玉川−大岡山)経由で乗車しても営団永田町経由でも、最低運賃となる営団経由の190円が引き落とされる(一般旅客は、このような乗り方はしないだろう。JR山手線を利用したほうが早いし、150円ですむ)。
    (2) 東急田園都市線池尻大橋で入場し、目黒線不動前で出場すると、営団永田町経由で乗車しても、東急の運賃(二子玉川−大岡山経由、250円)しか引き落とされない。
    (3) 営団日比谷線広尾で入場し、南北線白金台で出場すると、東急田園調布経由で乗車しても、営団の運賃(霞ヶ関−国会議事堂前=溜池山王−白金台経由、160円)しか引き落とされない。


    首都圏の運賃体系を見直すきっかけに

    一般に鉄道運賃は、事業者ごとに距離に比例して計算される(対距離運賃制)。しかし大都市圏においては、二地点間に同一事業者内でも複数のルートが存在し、最短距離のルートが時間的にも最短であるとは限らないので、最短経路で運賃を計算したり、最短経路の乗車券で他のルートの選択乗車を認めるのが一般的である。

    JRの大都市近郊区間内では、いわゆる大回り乗車が認められている。これは、「大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び回数乗車券を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる」という選択乗車の制度だが、SFカード(イオカード、スイカ)の普及により実質的に最短経路による運賃計算の制度に変化している。

    路線網に環状線部分を有する私鉄でも、環状線内においては乗車経路に関わらず最短経路で運賃を計算し、または最短経路の乗車券でう回乗車を認めるという取り扱いが一般的である[2]。また、これを複数の事業者間に適用した例としては、営団と都営との間の乗継割引運賃の計算がある。先に例としてあげたように、新宿−二重橋前間の運賃は、市ヶ谷で都営から営団に乗り換えても、白金高輪経由のう回ルートを通っても、実乗車経路ではなく、乗降駅間の最低運賃経路で計算し、営団と都営の運賃の合算額から70円割引かれる[3]

    多くの事業者が密度の高い鉄道ネットワークを形成している首都圏において、各事業者が個別に運賃を設定するのは、消費者(旅客)の利益にかなうのか。 とくに事業者ごとに初乗り運賃を徴収することが問題である。初乗り運賃は、出札や改札のコスト(ターミナルコスト)が乗車距離に比例しないので、一定の最低運賃を設定し、短距離の旅客からそれにみあうコストを回収しようというものである。しかし、券売機や自動改札の導入によってターミナルコストは著しく削減され、また相互乗り入れのケースではまったく発生しない。従来のコスト構造は変化したはずである。そのため一定の乗継割引が実施されるようになったが、対象範囲が原則として各事業者の最低運賃(初乗り運賃)区間の相互間[4]に限られており、割引額も不十分である。相互乗り入れなどで複数の事業者の路線を乗車する旅客にとって運賃の割高感は否めない。

    むしろヨーロッパの都市で一般化している、ゾーン運賃制(事業者ごとに対距離運賃を設定せずに、都市(圏)の中心部から同心円状にゾーンを定め、通過するゾーンを基準に運賃を統一し、これを鉄道、地下鉄、路面電車、バスなど公共交通をになう全事業者に共通に適用する運賃制度)に移行すべきではないかと思う。 ゾーン運賃制は、各事業者の競争による経営効率化へのインセンティブがはたらかなくなるとの否定的な議論もある。判断の基準は、首都圏の事業者間の関係を競合関係とみるか補完関係とみるか、どちらが消費者(旅客)の利益になるかだろう[5]

    パスネットの運賃計算システムは、乗継割引こそないが、営団と都営との間で始まった事業者間にまたがる最短経路による運賃計算を加盟各社間に拡大したものといえる。相互乗り入れが広範に行われている首都圏において、一般旅客は乗車する路線の事業者など意識していない。旅客が共通SFカードを使いながら、異なった事業者間をノーラッチで乗り継ぐ都度、出場駅でいちいち経路通りの申告をして精算していたら、このシステムを導入した意味がない。事前購入という乗客の負担を考え(低金利の現在あまり大きなものではないが、紛失等のリスクはある)、乗客の便宜と事業者側のシステムの簡素化を目的として、最低運賃を適用するというルールになったものと思われる。

    パスネットが複数事業者間の乗継ぎで最低みなし運賃を適用したことは、乗継ぎ時の割高感を是正する第一歩として評価したい。 これが首都圏の運賃体系を見直すきっかけになることを望みたい。


    運賃収入の配分は

    パスネットシステムでは、各事業者の個別の運賃を適用せず、上記のような矛盾が生じるのだから、運賃収入を加盟各社間で配分する何らかのルールがあるはずである。 パスネットカードの裏面には、「このカードの取扱はパスネット加盟各社局のカード取扱規則等によります」と表示されている。営団の「SFメトロカード取扱規則」にあたってみたが、同規則は、「カードによる旅客運送その他の必要な取扱いのうち、営団線内における取扱方についてはこの規則に定めるところによる」(第3条)というもので、事業者間にまたがるルールを定めたものではない[6]。運賃分配のルールは、事業者間の協定として存在するのだろう。

    ところで、冒頭の東武と営団の運賃分配はどのように決着したのだろうか。ゾーン運賃制などの抜本的変更を伴わず、現行の制度上で乗客の便宜を損なわず、東武が一定の収入を得られるようにするためには、次の方法しかないと思うのだが。


    追記1 東武北千住問題は将来東急でも(2004/12/11)

    東武と同様の問題が将来東急にも発生する。東急東横線は、中目黒での日比谷線乗り入れに加えて、2012年に渋谷で東京メトロ13号線(2007年、池袋−渋谷間開業予定)に乗り入れる予定である。 東武が北千住で日比谷線に乗り入れ、更にその先の押上で半蔵門線に乗り入れているのとまったく同じシチュエーションである。パスネットで中目黒で入場し、東横線経由で東京メトロ駅まで乗車しても、東京メトロの運賃だけで行けるのだ。そのときまでに、うまい解決法が考えられているだろうか。なお特殊法人・帝都高速度交通営団は2004年4月1日、株式会社東京地下鉄に改組されたが、本文中の「営団」の字句は変更しません。


    追記2 最低運賃を引き落とさない例(2005/01/15)

    みどりの窓口メーリングリストにパスネットが必ずしも最短運賃を引き落とさない事例が報告されている。東急東横線代官山から東京メトロ丸の内線茗荷谷まで、田園調布・目黒・都営三田線・春日というルートでパスネットで乗車し、春日で都営から東京メトロ(後楽園)の連絡改札を通過すると、
     
    172
    1-9代官山11春日132
    1-9後楽園16

    と運賃が春日で打ち切られ、後楽園で新たに東京メトロの前引き運賃160円が差し引かれたという。

    この区間の正規運賃は代官山→目黒(東急、210円)+目黒→茗荷谷(都営・東京メトロ乗り継ぎ、300円)の計510円である。パスネットは、春日駅出場時に、代官山→春日間のノーラッチ最低運賃経路である、代官山→中目黒(東急、110円)+中目黒−白金高輪→春日(東京メトロ・都営乗り継ぎ、290円)の運賃計400円を引き落とした。この運賃は、代官山→目黒(東急、210円)+目黒→春日(都営260円)の計470円よりも、70円安い。ところが、後楽園でさらに東京メトロに乗り継ぎ、茗荷谷まで乗車すると、合計560円となり、所定運賃の510円よりも50円高くなってしまうのである。

    東京メトロと都営の乗り継ぎ割引は1回しか適用されないないため、春日駅でいったん運賃を打ち切ったのである。連絡改札口から丸の内線に乗車したのだから、システム上、最終目的駅まで計算を保留するという対応も不可能ではないだろうが。

    ただし、ここに挙げられた例は、パスネットの運賃徴収の矛盾をまた一つ浮き彫りにしたとはいえ、このルートが実際に使われることはほとんどないだろう。 代官山−茗荷谷間の順路は、代官山→渋谷(東急110円)+渋谷→茗荷谷(赤坂見附乗換、東京メトロ190円)だろう。これが最低運賃経路であり、所要時間も最短である。また目黒を経由する場合でも、南北線・後楽園・丸の内線と東京メトロだけで行くのが運賃も安く(目黒−茗荷谷間、230円。代官山−茗荷谷間ノーラッチ最低運賃:中目黒乗り継ぎ340円)、所要時間も短い。春日で途中下車する必要がなければ、わざわざ三田線経由にすることはないのだ。


    追記3 東武とメトロの精算 (2005/11/09)

    2005年11月5日付「朝日新聞」朝刊生活面に、パスネットの運賃配分についての記事が掲載された。これによると、冒頭の北千住問題について、東武は「東京メトロさんから一定額を頂いています」とのことである。この金額の算定方法がどのようになっているのか興味がある。


    追記4 PASMOデビュー (2007/03/04)

    2007年3月18日から、ICカード乗車券PASMOが首都圏の私鉄と公営交通の鉄道・バスで使用開始される。同時にJR東日本等のSuicaとの相互利用サービスが始まり、首都圏の主要交通機関が1枚のカードで利用できるようになる。しかし、パスネットで確立された事業者間にまたがる最低運賃経路による運賃の引き落としは、SuicaまたはPASMOによるJRと私鉄の乗り継ぎには適用されない。

    JR東日本のパンフレットは、SuicaまたはPASMOによる「JR−地下鉄・私鉄−JR」の乗り継ぎにおいて、連絡きっぷ(磁気乗車券)と運賃が異なるケースとして、次の3例を紹介している。

    改札口を通らないで乗り継ぐ場合の例に挙げられている東京メトロ東西線経由は、通過連絡運輸区間であり、メトロ経由の運賃の方が安い。このため、西船橋のJRのホームと東京メトロ・東葉高速のホームとの間に中間ラッチを設置するようだ(東西線の列車が津田沼まで乗り入れているので完全には解決できないが)。またこの区間を乗車する多くの乗客は錦糸町・御茶ノ水乗換で快速電車を利用するだろうから、実際上の問題は比較的小さいだろう。

    むしろ問題は、千代田線が乗り入れている常磐線亀有・取手間と、東西線が乗り入れている中央線高円寺・三鷹間の相互間を乗車する場合である。全区間をJR線に乗車しようとすると、常磐線の快速が停車しない駅の乗降客にとっては、北千住、日暮里または上野、秋葉原と3回、常磐線の快速列車停車駅でも日暮里または上野と秋葉原または神田の2回乗り換える必要がある。メトロ経由なら、大手町で1回乗り換えるだけですむ上に、表1のようにメトロ経由の運賃が安いケースが少なくない。この場合通過連絡運輸区間ではないので、JR−メトロ-JRの乗車券は通しでは購入できず、着駅で乗り越し精算する必要があり、きわめて不便である。

    表1 常磐線亀有・取手間/中央線高円寺・三鷹間の相互間の運賃

    左:メトロ経由(乗車券)、右:全区間JR(Suica)、青数字が安い運賃
    亀有 金町 松戸 北松戸 馬橋 新松戸 北小金 南柏 北柏 我孫子 天王台 取手
    高円寺 550/450 560/450 610/540 610/540 610/620 690/620 690/620 690/690 780/690 780/780 850/780 850/890 940/890
    阿佐ヶ谷 550/450 560/540 610/540 610/620 610/620 690/620 690/690 690/690 780/780 780/780 850/780 850/890 940/890
    荻窪 570/450 580/540 630/620 630/620 630/620 710/690 710/690 710/690 800/780 800/780 870/890 870/890 960/890
    西荻窪 570/540 580/540 630/620 630/620 630/690 710/690 710/690 710/780 800/780 800/890 870/890 870/890 960/890
    吉祥寺 580/540 590/620 640/620 640/690 640/690 720/690 720/780 720/780 810/890 810/890 880/890 880/890 970/1050
    三鷹 580/540 590/620 640/690 640/690 640/690 720/780 720/780 720/780 810/890 810/890 880/890 880/890 970/1050

    従来は、東京メトロを経由するJR駅相互間をSuicaで乗車するのは不正乗車だったが、JR経由の運賃の方が安い区間(たとえば、亀有・高円寺間)をSuicaで乗車してもチェックされなかった。今後は、これが合法化される。他人事ながら、乗客が利用しているのに収入を得られない東京メトロとJRとの精算はどうするのか、気になる。

    改札口を通って乗り継ぐ場合1の北千住・西日暮里間経由の通過連絡運輸は、1971年4月の常磐線の複々線化に伴う緩急分離運転で、各駅停車の電車が地下鉄千代田線に乗り入れるようになったときに制定された。以前は各駅停車の国電も中距離電車も、南千住経由の常磐線ルートを通り上野が終点であった。緩急分離で快速列車が停車しない駅の乗降客がJR線だけを使って乗車するためには、北千住で乗り換える必要がある。鉄道側の都合によって乗客に不便を強いることに対する配慮として、通過連絡運輸区間としたのである。したがって、新制度でもその他の通過連絡区間と区別して、前後の区間の合算運賃から100円引きとした。将来的には、磁気式の乗車券を廃止し、IC乗車券に一本化する方向だろうから、その布石として通過連絡運輸の整理をはじめたのだろうか。

    この区間の運賃を比較するとき、乗車券を購入した場合、Suicaを利用した場合に加えて、通過連絡運輸を利用しない全区間JRによる運賃(前述した千代田線・東西線経由の例のように、必ずしも全区間JRを利用するということを意味しない)も考慮する必要がある。これをまとめたのが表2である。なお、北千住接続の通過連絡運輸区間は、常磐線亀有・取手間並びに武蔵野線新八柱及び新流山・吉川間に設定されているようだが、常磐線の快速停車駅と武蔵野線各駅は表2の比較対象から外した。 これらの駅の乗降客は、日暮里、西船橋、南浦和、武蔵浦和乗換の方が便利であり、北千住・西日暮里の通過連絡運輸を利用するメリットがない(ただし一部過連絡運輸の運賃の方が安い区間がある)。また、西日暮里接続の対象駅からも、西日暮里で乗り換えずにそのままメトロに乗車したほうが便利で、通過連絡適用より運賃が安い駅(千代田線各駅の最寄JR駅、御茶ノ水、東京、有楽町、原宿と、千代田線の駅で1回の乗換えですむ渋谷、恵比寿、目黒、飯田橋、市ヶ谷、四ツ谷、中野)を外した。

    表2 北千住・西日暮里間通過連絡運輸の運賃比較

    左:乗車券(通過連絡) 中:Suica(通過連絡) 右:Suica(全区間JR)
    青数字は通過連絡区間乗車時の安い運賃。赤字はこれが最安運賃のケース
      亀有 金町 北松戸 馬橋 新松戸 北小金 南柏 北柏
    田端 310/340/210 320/350/210 370/400/290 370/400/380 450/480/380 450/480/380 540/480/450 540/570/540
    駒込 320/340/210 320/350/210 370/400/380 450/400/380 450/480/380 450/480/380 540/480/450 610/570/540
    巣鴨 320/360/210 320/370/290 450/420/380 450/420/380 450/500/380 450/500/450 540/500/450 610/590/540
    大塚 320/360/210 370/370/290 450/420/380 450/420/380 450/500/450 540/500/450 540/500/450 610/590/540
    池袋 370/360/290 370/370/290 450/420/380 450/420/450 540/500/450 540/500/450 610/500/540 610/590/620
    目白 370/370/290 370/380/290 450/430/450 540/430/450 540/510/450 540/510/450 610/510/540 700/600/620
    高田馬場 370/370/290 370/380/380 540/430/450 540/430/450 540/510/450 540/510/540 610/510/540 700/600/620
    新大久保 370/370/290 450/380/380 540/430/450 540/430/450 540/510/540 610/510/540 610/510/540 700/600/620
    新宿 450/400/380 450/410/380 540/460/450 540/460/540 610/540/540 610/540/540 700/540/620 700/630/620
    代々木 450/400/380 450/410/380 540/460/450 610/460/540 610/540/540 610/540/540 700/540/620 780/630/690
    日暮里 310/340/160 320/350/210 370/400/290 370/400/290 450/480/380 450/480/380 450/480/380 540/570/450
    鶯谷 320/340/210 320/350/210 370/400/290 450/400/380 450/480/380 450/480/380 540/480/450 610/570/450
    上野 320/340/210 320/350/210 450/400/290 450/400/380 450/480/380 450/480/380 540/480/450 610/570/540
    御徒町 320/360/210 320/370/210 450/420/380 450/420/380 450/500/380 540/500/380 540/500/450 610/590/540
    秋葉原 320/360/210 370/370/290 450/420/380 450/420/380 450/500/380 540/500/450 540/500/450 610/590/540
    神田 320/360/210 370/370/290 450/420/380 450/420/380 540/500/450 540/500/450 540/500/450 610/590/540
    新橋 370/370/290 370/380/290 540/430/450 540/430/450 540/510/450 540/510/450 610/510/540 700/600/620
    浜松町 370/370/290 450/380/380 540/430/450 540/430/450 540/510/450 610/510/540 610/510/540 700/600/620
    田町 450/400/380 450/410/380 540/460/450 540/460/450 610/540/450 610/540/540 700/540/540 700/630/620
    品川 450/400/380 450/410/380 610/460/540 610/460/540 610/540/540 610/540/540 700/540/620 780/630/690
    大崎 450/460/380 540/470/450 610/520/540 610/520/620 700/600/540 700/600/620 700/600/620 780/690/690
    五反田 540/460/450 540/470/450 610/520/540 610/520/620 700/600/540 700/600/620 780/600/620 780/690/690
    水道橋 370/360/290 370/370/290 450/420/380 450/420/450 540/500/380 540/500/450 610/500/450 610/590/540
    信濃町 450/400/290 450/410/380 540/460/450 540/460/450 610/540/450 610/540/540 610/540/540 700/630/620
    千駄ヶ谷 450/400/380 450/410/380 540/460/450 610/460/450 610/540/450 610/540/540 700/540/620 780/630/620
    板橋 370/370/290 370/380/380 540/430/450 540/430/450 540/510/450 540/510/540 610/510/540 700/600/620
    十条 370/370/290 450/380/380 540/430/450 540/430/450 540/510/540 610/510/540 610/510/540 700/600/620
    尾久 320/360/210 320/370/290 450/420/380 450/420/380 450/500/380 450/500/450 540/500/450 610/590/540
    上中里 320/340/210 320/350/210 450/400/380 450/400/380 450/480/380 450/480/380 540/480/450 610/570/540
    王子 320/360/210 370/370/290 450/420/380 450/420/380 450/500/380 540/500/450 540/500/450 610/590/540
    東十条 320/360/290 370/370/290 450/420/380 450/420/380 540/500/450 540/500/450 540/500/540 610/590/540
    赤羽 370/370/290 370/380/290 450/430/450 540/430/450 540/510/450 540/510/450 610/510/540 700/600/620
    川口 370/370/290 450/380/380 540/430/450 540/430/450 540/510/540 610/510/540 610/510/540 700/600/620
    西川口 450/420/380 450/430/380 540/480/450 610/480/540 610/560/540 610/560/540 700/560/540 780/650/620
    450/420/380 450/430/450 610/480/540 610/480/540 610/560/450 700/560/450 700/560/540 780/650/620

    JRは「連絡きっぷ(磁気乗車券)と運賃が異なるケースがあります」と言っているが、100円引きは結構手厚く設定されている。表2に見るようにSuicaを使用するのが有利な区間が多く、全区間JR利用よりも安くなった区間もかなりある。

    しかし、SuicaやPASMOを使用すると損をするケースが存在し、旅客の自衛手段が必要であるというのは問題である。IC乗車券相互利用サービスによって、首都圏の鉄道を1枚のカードでシームレスに乗車できるようになったというのに、まったく不便な話だ。やはり、ゾーン運賃制の採用など首都圏の運賃体系を見直す必要があるだろう。

    PASMOのサービス開始にあたって、私鉄各社は、クレジットカード機能を組み込んだPASMOを発行し、乗客の囲い込みを狙っている。クレジット機能付のPASMOでは、残額が2,000円以下になると、自動改札機を通って入場する際に自動的にクレジット決済で3,000円がチャージされる(オートチャージの申し込みが必要)。また各社ともクレジットカードの利用額に応じて、自社グループで使用可能なポイントを付与する。とくに、東京メトロと小田急は、乗車回数に応じてポイントを付与するという、いわば鉄道のマイレージサービスを開始する。

    東京メトロのポイントは、会費が不要な一般クレジットカードの場合、1乗車について2ポイントである。160円区間の乗車で2円しか還元されず、割引率はわずか1.25%である(ゴールドカードは5ポイント付与され、割引率は3.1%)。また、ポイントの有効期間は最大2年間であり、その間に1,000ポイントためないとPASMOにチャージできない。これでは、回数券の割引率に比べてメリットがない。東京メトロの回数券は、区間を限定せず、どこでも乗車できる金額式の回数券である。これが10回分の運賃で11回乗車でき、9.1%引き。時差券は16.7%、土休券は28.6%と割引率はさらに高くなる。

    6月から開始する小田急の乗車ポイントは、1ヶ月間の対象運賃総額に、ポイント付与率をかけて算出される。ポイント付与率は、乗車回数10回まではなし、11回から20回まで3%、21回から30回まで5%、31回以上7%である。31回以上利用しても回数券の割引率より低い。さらに小田急のポイントは東京メトロと異なり、ためたポイントをPASMOにチャージすることができない。


    追記5 PASMOの約款 (2007/04/09)

    PASMOのウェブサイトに、約款が掲載されている。JR東日本のサイトにも、Suicaの約款の3月18日改訂版が掲載された。

    PASMOの約款は、このページの本文に書いたパスネットの取扱を追認し、明文化している。ICカード乗車券取扱規則(鉄道)第13条は、PASMOによる運賃の減額について次のとおり規定している。(なお、この条文は標準的なもので事業者ごとに表現の差異があるという。)

    (運賃の減額)
    第13条 旅客がICSFカードを使用して乗車する場合、出場時に当該乗車区間の大人片道普通旅客運賃を減額する。ただし、小児用ICカードにあっては、小児片道普通旅客運賃を減額する。
    2 当社の駅発着となる場合で、当該発着区間内に他のIC鉄道事業者を含む場合であっても、特に認めた場合を除き、全線当社を使用したものとみなして、片道普通旅客運賃を収受する。
    3 乗換駅を経由して着駅で出場する場合は、発着区間の片道普通旅客運賃相当額と当該乗換駅における収受額とを比較し、不足額は収受し過剰額は払いもどしをしないものとする。

    第2項の規定は、本文でとりあげた

    というパスネットによる乗車を合法化したことになる。この規定によって、錦糸町から町屋まで、時間最短経路である錦糸町(メトロ・半蔵門線)押上(東武)北千住(メトロ・千代田線)町屋と乗車した場合でも、運賃最低経路である錦糸町(メトロ・半蔵門線)大手町(メトロ・千代田線)町屋と乗車したものとして、運賃が収受される。東武北千住問題の新たな展開である。

    Suica側の同様の規程は、JR東日本のICカード乗車券取扱規則第51条第2号にある。これは、追記4で書いたSuicaまたはPASMOを使用して改札口を通らないで乗り継ぐ場合、全区間をJR線に乗車したものとして運賃を計算するというルールの根拠規定である。

    (接続駅で改札を受けずに乗継ぐ場合の運賃の減算)
    第51条 Suica乗車券(第49条第2項第1号から第3号に規定する発行会社のICカード乗車券でSuica乗車券に相当するものを含む。以下本章において同じ。)で入場し、接続駅において改札を受けることなく当社線を含む複数の鉄道会社線(合わせて4社以内に限ります。)を乗継いで乗車する場合は、出場駅において、次の各号に定める金額をSF残額から減算します。
    (1) 第2号及び第3号に該当しない場合は、第27条の規定による当社の普通旅客運賃と鉄道会社毎に定める普通旅客運賃との合算額
    (2) 乗車区間の入場駅及び出場駅が当社線となる場合は、両駅間の経路に他の鉄道会社線を含むときであっても、全乗車区間について当社線を利用した場合の第27条の規定による当社の普通旅客運賃
    (3) 別に定める乗継割引適用区間又は他の鉄道会社が定める割引適用区間が乗車区間に含まれる場合は、第1号の規定により算出した金額から当該割引額を差し引いた金額

    複数事業者間の乗継ぎでパスネットが可能性のあるルートのうち最低運賃を適用するという取扱は、PASMOの約款では明文化されなかった。ICカード乗車券取扱規則(鉄道)第14条で次のように規定されただけである。

    (当社を含むIC鉄道事業者相互間を乗車する場合の運賃の減額)
    第14条 旅客がICSFカードを使用して入場した後、各IC鉄道事業者の定める取扱区間内を連続して乗車する場合、出場時に減額する旅客運賃は、実際に乗車した経路に基づき、各IC鉄道事業者で定める大人片道普通旅客運賃の計算方による運賃の合算額とする。また、小児用ICカードのSFから減額する旅客運賃にあっては、各IC鉄道事業者で定める小児片道普通旅客運賃の合算額とする。
    2 前項にかかわらず、改札機等での旅客運賃の減額は、入場した駅から4社局以内の各IC鉄道事業者の定める取扱区間内を連続して乗車した場合に限る。ただし、5社局以上を連続して乗車した場合であっても、4社局以内を連続して乗車できる経路がある場合には、4社局以内を乗車したものとみなして運賃を減額する。
    3 前項で減額するときに、乗車経路が特定できない場合は、実際に乗車した経路と異なる経路を乗車したものとみなして運賃を減額することがある。
    4 IC鉄道事業者が規定する旅客運賃に割引を適用する区間を乗車する場合は、出場時に当該区間の片道普通旅客運賃相当額から割引額を減じた額を減額する。ただし、同一IC鉄道事業者の割引適用区間が重複する場合にあっては、次の各号に定めるとおりとする。
    (1) 割引額が異なる場合には、旅客運賃が低廉となる割引を適用する。
    (2) 割引額が同一の場合には、乗車経路において最初に発生する割引を適用する。

    第3項は、PASMOに改札口通過の記録がない場合「実際に乗車した経路と異なる経路を乗車したものとみなして運賃を減額することがある」というだけで、最低運賃を減額するという規定にはなっていない。Suicaとの相互乗り入れで、必ずしも最低運賃とならないケースがあるからだろう。

    第4項は、追記2で書いたパスネットによる乗り継ぎで最低運賃を引き落とさないケースを救済する措置だろうか。

    SuicaのICカード乗車券取扱規則第55条に、複数の鉄道会社線を乗継ぐ場合のSuica乗車券の効力が規定されている。

    (複数の鉄道会社線を乗継ぐ場合のSuica乗車券の効力)
    第55条 接続駅において改札を受けることなく乗継いで乗車する場合は、片道乗車1回に限ります。ただし、ICカード乗車券を使用できない区間及び鉄道会社線をまたがって乗車することはできません。
    2 途中下車の取扱いはしません。
    3 入場後は、当日に限り有効とします。

    PASMOの効力規程は第15条にある。

    (効力)
    第15条 ICカード乗車券取扱区間内を、ICSFカードを使用して乗車する場合の効力は次の各号に定めるとおりとする。
    (1) 当該乗車区間において、片道1回の乗車に限り有効なものとする。この場合、ICSFカード1枚をもって1人が使用することができる。なお、無記名ICカードから大人片道普通旅客運賃を減額することを承諾して使用する場合には、小児1人が使用することができる。
    (2) 入場後は、当日限り有効とする。
    (3) 途中下車の取扱いはしない。
    (4) 乗継駅及び乗換駅では、SF残額が発駅からの片道普通旅客運賃に満たない場合、当該乗継駅又は乗換駅での出場ができない。
    (5) 乗継駅及び乗換駅では、出場から再入場までの時間が30分を超えた場合、乗継及び乗換の取扱いをしない。

    上述した運賃減額の規定と効力の規定をあわせれば、東京メトロの駅でPASMOまたはSuicaを使って入場し、メトロが乗り入れているJRの東京近郊区間を一筆書きで大回り乗車し(片道乗車1回)、途中下車せず東京メトロに戻って出場することが合法化されたことになる。


    追記6 千代田線西日暮里経由の100円割引の適用区間(2008/03/11)

    追記4の表2、「北千住・西日暮里間通過連絡運輸の運賃比較」から、西日暮里接続の南浦和・大宮間、北赤羽・北与野間、大久保・三鷹間、大井町・関内間を削除した。金町・浮間船渡間(西日暮里経由)をSuicaで乗車した読者から「運賃が単純に合算され100円割引かれなかった」という指摘を受けて、改めてJR東日本のウェブページを調べたところ、これらの区間は100円割引の対象になっていないことが判明した。同ページによると、磁気乗車券の場合の通過連絡運輸適用区間とSuicaの100円割引区間が次のとおり異なっている。

    表4 通過連絡運輸適用区間とSuicaの100円割引区間
    接続駅 通過連絡運輸適用区間 Suicaの100円割引区間
    北千住 常磐線「亀有−取手」間各駅、武蔵野線「吉川−新八柱」間各駅 常磐線「亀有−取手」間各駅
    西日暮里 京浜東北線「関内−大宮」間各駅、山手線各駅、埼京線「池袋−大宮」間各駅、尾久駅、中央線「東京−三鷹」間各駅 山手線各駅、中央線「東京−新宿」間各駅、埼京線「池袋−赤羽」間各駅、京浜東北線「品川−蕨」間各駅、尾久駅

    追記4を書いた2007年3月当時、上記のページは存在しなかった。参考にしたJR東日本サイトのパンフレット(pdfファイル)は、すでにリンク切れになっているが、保存しておいた紙のパンフレットには、次の通り書かれている(下線は筆者)。

    東京メトロ千代田線・西日暮里〜北千住間を経由する一部の区間をSuicaでご利用のときは、前後のJR線の運賃の合算額から100円を割り引きします。この場合、連絡きっぷ(磁気乗車券)でご利用の場合と運賃の異なることがあります。
    Suicaで乗車する場合の100円割引は、北千住・西日暮里間の通過連絡運輸を適用しないことの代償であるから、その対象区間(一部の区間)は通過連絡運輸の適用区間と同じであると理解するのが普通だろう。そこで、JR連絡運輸取扱会社線一覧表で、北千住・西日暮里の通過連絡適用区間を確認して表2を作成したのである。100円割引の対象区間が通過連絡運輸適用区間のうちの一部の区間であるとは、まったく考えていなかった。表2を見て、割引があるものとしてSuicaで乗車された読者には、ご迷惑をかけた。追記4で「100円割引は結構手厚く設定されている」書いたのも撤回する。

    2008年1月10日限りでパスネットの販売が終了した。自動改札機でのパスネット利用は2008年3月14日限りで終了し、PASMOに一本化される。追記4以降は題名のパスネットから離れてPASMOのことばかり書いてきたが、これが最後の更新となるだろう。


    [1] 上野乗換えではなく、上野広小路=中御徒町乗換えでも営業キロは同じ9.5キロ。
    [2] 環状線部分を有する事業者(東武、西武、京成、東急、東京メトロ、都営地下鉄、名古屋市営地下鉄、富山地鉄、阪急、近鉄、大阪市高速電気軌道、神戸市営地下鉄、神戸新都市交通)の環状線部分の運賃計算及びう回乗車の取扱は、次のとおり。なお、札幌市交通事業振興公社(札幌市電)、山万、舞浜リゾートライン、広島電鉄(軌道)、伊予鉄道(市内線)、長崎電気軌道、鹿児島市交通局も環状線部を有するが、均一運賃。

    環状線部分の運賃計算及びう回乗車の取扱
    1.最短経路で運賃計算
    2.最短経路の乗車券によるう回乗車可
    3.実乗車キロで運賃計算、う回乗車不可
    4.その他
    事業者 環状線区間 取扱 旅規の該当条項(出所)(条番号から旅規の環状線規定の条文にリンク)
    東武 館林(伊勢崎線)太田(小泉線)館林間 2(発着) 159条。分岐駅関連の区間外乗車規定あり(160条)(2011年閲覧。2020年ウェブ公開)
    西武 小平(新宿線)所沢(池袋線)西所沢(狭山線)西武球場前(山口線)西武遊園地(多摩湖線)国分寺(国分寺線)東村山間、小平(拝島線)小川間を外周とする区間 1(発着・通過) 70条157条159条定期乗車券にかかわる選択乗車規定あり(160条)(2011年閲覧。2020年ウェブ公開)
    京成 京成高砂(京成本線)新分岐点=京成上野起点67.8キロ(成田空港線)京成高砂間 67条147条(2011年閲覧。2020年ウェブ公開)
    東急 A:自由が丘(大井町線)旗の台(池上線)蒲田(東急多摩川線)多摩川(東横線)自由が丘間を外周とする区間、B:渋谷(東横線)自由が丘(大井町線)二子玉川(田園都市線)渋谷間、 1(発着・通過) 70条157条旅客営業規則)。従来環状線Bは3だったが、2013年3月東横線とメトロ副都心線乗り入れ時に渋谷駅のラッチ外乗換えが解消、全環状線区間が1となった
    東京メトロ 北千住(日比谷線)銀座(銀座線)溜池山王=国会議事堂前(千代田線)表参道(銀座線)赤坂見附(丸の内線)四ツ谷(南北線)飯田橋(有楽町線)池袋(丸の内線)淡路町=新御茶ノ水(千代田線)北千住を外周とする区間 1(発着・通過) 45条82条旅客営業規程)。ただし、ラッチ外乗換駅では、発駅から当該乗換駅までの運賃以上の乗車券をもっているときに限り、乗換可。また60分以内の乗換時間制限あり(83条)。
    都営地下鉄 大江戸線環状部及び大門(浅草線)三田(三田線)神保町(新宿線)新宿を外周とする区間 1(発着・通過) 14条の456条の2東京都地下高速電車旅客営業規程)。ラッチ外乗換駅の取扱については、東京メトロと同様乗継駅までの運賃の規定(56条の2但書)があるが、乗換時間制限はなし(PASMO約款では60分以内に制限)
    富山地方鉄道 稲荷町(本線)寺田(立山線)岩峅寺(不二越・上滝線)稲荷町間 1(通過)、2(発着) 32条70条71条鉄道線旅客営業規則
    名鉄 枇杷島分岐点(犬山線)新鵜沼(各務原線)新岐阜(名古屋本線)新一宮(尾西線)津島(津島線)須ヶ口(名古屋本線)枇杷島分岐点を外周とする区間 1(発着・通過) 42条の287条の2(2011年閲覧)。分岐駅通過及び折返し列車の区間外乗車規定あり(細則77条
    名古屋市営地下鉄 名古屋(東山線)伏見(鶴舞線)上前津(名城線)金山(四号線)新瑞橋(桜通線)名古屋を外周とする区間 1(発着・通過) 10条2項。最短距離による運賃計算の規定だけで、う回乗車の規定なし。(高速電車乗車料条例施行規程
    近鉄 布施(奈良線)大和西大寺(橿原線)大和八木(大阪線)布施を外周とする区間 2(発着・通過) 100条(生駒線、田原本線は除く)。なお、第56条の2は、最短経路による運賃計算を強制する規定ではない。(旅客営業規則
    近鉄は、以前、以下のとおり広範に途中下車を認めていたので、乗車経路どおりに運賃計算し、う回乗車を認めていなかった。
    (1) 有効期間が2日の乗車券(運賃が1,440円以上)では、無人駅及び発駅からの運賃が着駅までと同額の途中駅を除く各駅で可
    (2) 有効期間が1日の乗車券でも、上本町、布施、大和八木、伊勢中川、生駒、大和西大寺、田原本、橿原神宮前、桑名及び四日市の各駅で可
    するっト関西、Jスルー参加により、途中下車制度が廃止され、2に変更された。
    阪急 十三(神戸本線)西宮北口(今津線)宝塚(宝塚本線)十三間 2(発着・通過) 63条2項では、環状線内運賃区間数が3区(10キロ)以上の乗車券(定期券を除く)に限定(2011年閲覧時は、62条の(注)に記載)、またう回乗車の取り扱い補足では9キロ以下は360円との記載があったが、ウェブ運賃検索によると10キロ以下でも「う回」を選択すると最短経路の運賃が表示された(現在は、補足の存在は不明。また運賃検索で「う回」の表示なし)
    大阪市メトロ 梅田=西梅田(御堂筋線・四つ橋線)本町(中央線)阿波座(千日前線)なんば(御堂筋線)天王寺(谷町線)谷町9丁目(千日前線)今里(今里筋線)太子橋今市(谷町線)東梅田を外周とする区間 1(発着・通過) 47条2項73条。ラッチ外乗換駅での乗換制限(乗換駅までの運賃の乗車券所持・30分以内)は東京メトロと同じ(旅客営業規則
    神戸市営地下鉄 三宮(山手線)新長田(海岸線)三宮・花時計前間 2条2項8条神戸市高速鉄道乗車料条例施行規程
    神戸新交通 中公園−市民広場−中埠頭−中公園間(ポートアイランド線) 環状線部各駅は市民病院前駅の営業キロにより運賃計算(別表2の注記)(2011年知人から提供を受けた旅客営業規則コピー)

    [3] 東京都地下高速電車連絡運輸規程第4条第2項に規定されている。ただし、PASMO(旧パスネットも)では、接続駅(ラッチ内の白金高輪を除く)で60分以内に乗り継ぐ必要がある。60分を超えると、割引は適用されず、東京メトロ、都営それぞれの乗車区間ごとの運賃が徴収される。
    東京メトロと都営との間の乗り継ぎ運賃割引は、1961年6月1日開始され、初乗り運賃と割引額は次のとおり推移した。

    東京メトロと都営乗継運賃割引の推移
    施行日 営団・メトロ初乗り 都営初乗り 割引額
    61/06/01 線別均一 25-50円a) 均一b) 20円 5-10円c)
    61/11/01 1-4キロ 20円 均一 20円 10円d)
    63/02/28 1-4キロ 30円 1-4キロ 20円 10円
    66/01/20 1-4キロ 30円 1-4キロ 20円 10円
    67/10/01 1-4キロ 30円 1-4キロ 30円 10円
    72/08/01 1-3キロ 40円 1-4キロ 30円 10円
    73/01/15 1-3キロ 40円 1-3キロ 40円 10円
    74/10/01 1-3キロ 60円 1-3キロ 60円 20円
    77/05/06 1-3キロ 80円 1-3キロ 80円 30円
    78/10/01 1-3キロ 80円 1-3キロ 100円 30円
    81/05/16 1-3キロ 80円 1-3キロ 120円 30円
    82/01/08 1-4キロ 100円 1-3キロ 120円 40円
    84/07/04 1-4キロ 100円 1-3キロ 130円 40円
    84/11/01 1-6キロ 120円 1-3キロ 130円 40円
    85/04/01 1-6キロ 120円 1-3キロ 140円 40円
    90/11/01 1-6キロ 140円 1-3キロ 140円 40円
    95/03/01 1-6キロ 140円 1-4キロ 170円e) 50円f)
    95/09/01 1-6キロ 160円 1-4キロ 170円 50円
    00/12/12 1-6キロ 160円 1-4キロ 170円 70円
    14/04/01 1-6キロ 170円 1-4キロ 180円 70円
      
    a)銀座・丸ノ内線内:25円
    荻窪線内(新宿・新中野間、中野坂上・中野富士見町間):20円
    日比谷線内(南千住・仲御徒町間):20円
    銀座・丸ノ内線⇔荻窪線・日比谷線:40円
    荻窪線⇔日比谷線:50円
    b)押上・浅草橋間
    c)都営⇔銀座・丸ノ内線:40円(併算額から5円割引)
    都営⇔荻窪線・日比谷線:50円(併算額から10円割引)
    d)営団3キロまでの20円区間は5円引き
    e)隣接駅間運賃は140円(7月1日まで)
    f)都営の運賃据置き区間(4、8-9、20-21キロ及び隣接駅間)は40円引き
    2000年12月の大江戸線環状部の開業時にそれまでの50円から70円に増加したが、まだ十分ではない。とくに、大江戸線開業によって東京メトロ−都営−東京メトロや、都営−東京メトロ−都営と乗り継ぐ機会が増えたが、そのとき割引が1回しか適用されないことが問題。 このようなケースでは、通過連絡運輸の取扱(同一事業者の前後の乗車キロを通算して運賃を計算)を望みたい。
    なお定期乗車券については、2000年12月から通過連絡運輸の取扱が開始された(「都営交通90年史」p185)。 東京都地下高速電車連絡運輸規程第2条第3項に都営−東京メトロ−都営の、第4項に東京メトロ−都営−東京メトロの通過連絡運輸区間が規定されている。

    東京メトロ・都営通過連絡定期券発売区間(網掛けは2020/04/14追加)
    都営−東京メトロ−都営
    都営路線1 発着駅1 接続駅1 都営路線2 発着駅2 接続駅2 メトロ路線 区間
    浅草線 押上(日本橋)大門間 日本橋 三田線 芝公園(大手町)西高島平間 大手町 東西線 日本橋−大手町
    浅草線 押上(東銀座)大門間 東銀座 三田線 芝公園(日比谷)西高島平間 日比谷 日比谷線 東銀座−日比谷
    浅草線 各駅 日本橋 大江戸線 (内)清澄白河〜両国間(外)月島〜汐留間 門前仲町 東西線 日本橋−門前仲町
    浅草線 浅草橋・本所吾妻橋間 押上 新宿線 浜町・本八幡間 住吉 半蔵門線 押上−住吉
    三田線 水道橋・西高島平間 春日駅・後楽園 大江戸線 (内)赤羽橋駅〜清澄白河駅(外)六本木駅〜代々木駅間 月島 南北線 後楽園−麻布十番
    三田線 目黒(日比谷)西高島平間 日比谷 大江戸線 汐留(月島)本郷3間 月島 有楽町線 有楽町−月島
    三田線 目黒(大手町)西高島平間 大手町 大江戸線 築地市場(門前仲町)本郷3間 門前仲町 東西線 大手町−門前仲町
    三田線 目黒(大手町)西高島平間 大手町 大江戸線 汐留(清澄白河)本郷三丁目間 清澄白河 半蔵門線 大手町−清澄白河
    三田線 水道橋−西高島平間 神保町 大江戸線 代々木(青山1)清澄白河間 青山1 半蔵門線 神保町−青山1
    三田線 水道橋(春日)西高島平間 春日 大江戸線 代々木(麻布十番)清澄白河間 麻布十番 南北線 後楽園−麻布十番
    新宿線 新宿3(市ヶ谷)岩本町間 市ヶ谷 大江戸線 汐留(月島)清澄白河間 月島 有楽町線 市ヶ谷−月島
    新宿線 新宿(市ヶ谷)浜町間 市ヶ谷 大江戸線 本郷3−両国間 春日 南北線 市ヶ谷−後楽園
    新宿線 新宿(市ヶ谷)本八幡間 市ヶ谷 大江戸線 牛込神楽坂−新宿西口 飯田橋 南北線 市ヶ谷−飯田橋
    新宿線 新宿(市ヶ谷)曙橋間 市ヶ谷 大江戸線 春日−両国間 飯田橋 南北線 市ヶ谷−飯田橋
    新宿線 新宿(九段下)本八幡間 九段下 大江戸線 牛込神楽坂−新宿西口間 飯田橋 東西線 九段下−飯田橋
    新宿線 新宿−市ヶ谷間 九段下 大江戸線 春日−両国間 飯田橋 東西線 九段下−飯田橋
    新宿線 新宿(九段下)浜町間 九段下 大江戸線 赤羽橋(門前仲町)清澄白河間 門前仲町 東西線 九段下−門前仲町
    新宿線 新宿3(九段下)本八幡間 九段下 大江戸線 代々木(青山1)清澄白河間 青山1 半蔵門線 九段下−青山1
    新宿線 小川町−本八幡間 神保町 大江戸線 代々木(青山1)清澄白河間 青山1 半蔵門線 神保町−青山1
    大江戸線 新御徒町−都庁前間 飯田橋 大江戸線 赤羽橋(門前仲町)清澄白河間 門前仲町 東西線 飯田橋−門前仲町
    東京メトロ−都営−東京メトロ
    メトロ路線1 発着駅1 接続駅1 メトロ路線2 発着駅2 接続駅2 都営路線 区間
    銀座線 浅草−上野間 上野広小路 丸ノ内線 池袋−茗荷谷間 後楽園 大江戸線 上野御徒町−春日
    銀座線 浅草−上野間 上野広小路 丸ノ内線 池袋−後楽園間 本郷3 大江戸線 上野御徒町−本郷3
    銀座線 浅草−上野間 上野広小路 丸ノ内線 西新宿−荻窪間、中野新橋−方南町間 新宿 大江戸線 上野御徒町−新宿西口
    銀座線 浅草−上野間 上野広小路 東西線 中野−神楽坂間 飯田橋 大江戸線 上野御徒町−飯田橋
    銀座線 浅草−上野間 上野広小路 有楽町線 和光市−江戸川橋間 飯田橋 大江戸線 上野御徒町−飯田橋
    銀座線 浅草−上野間 上野広小路 南北線 東大前−赤羽岩淵間 後楽園 大江戸線 上野御徒町−春日
    銀座線 浅草−上野間 上野広小路 南北線 目黒−市ヶ谷間 飯田橋 大江戸線 上野御徒町−飯田橋
    銀座線 赤坂見附−渋谷間 青山1 日比谷線 広尾−中目黒間 六本木 大江戸線 青山1−六本木
    丸ノ内線 池袋−茗荷谷間 後楽園 日比谷線 北千住−上野間 仲御徒町 大江戸線 春日−上野御徒町
    丸ノ内線 池袋−御茶ノ水間 淡路町 丸ノ内線 四ツ谷(新宿3)荻窪、中野新橋−方南町間 新宿3 新宿線 小川町−新宿3
    丸ノ内線 大手町−荻窪、中野新橋−方南町間 淡路町 日比谷線 北千住(秋葉原)小伝馬町間 秋葉原 新宿線 小川町−岩本町
    丸ノ内線 四谷3(新宿3)荻窪、中野新橋−方南町間 新宿3 日比谷線 北千住(秋葉原)小伝馬町間 秋葉原 新宿線 新宿3−岩本町
    丸ノ内線 四ツ谷(新宿3)荻窪、中野新橋−方南町間 新宿3 東西線 中野−飯田橋間 九段下 新宿線 新宿3−九段下
    丸ノ内線 四ツ谷(新宿3)荻窪、中野新橋−方南町間 新宿3 千代田線 北綾瀬−湯島間 新御茶ノ水 新宿線 新宿3−小川町
    丸ノ内線 四ツ谷(新宿3)荻窪、中野新橋−方南町間 新宿3 有楽町線 和光市(市ヶ谷)麹町間 市ヶ谷 新宿線 新宿3−市ヶ谷
    日比谷線 北千住−上野間 仲御徒町 東西線 中野−神楽坂間 飯田橋 大江戸線 上野御徒町−飯田橋
    日比谷線 北千住−上野間 仲御徒町 有楽町線 市ヶ谷−新木場間 飯田橋 大江戸線 上野御徒町−飯田橋
    日比谷線 北千住−上野間 仲御徒町 南北線 東大前−赤羽岩淵間 後楽園 大江戸線 上野御徒町−春日
    日比谷線 北千住−上野間 仲御徒町 南北線 目黒−市ヶ谷間 飯田橋 大江戸線 上野御徒町−飯田橋
    日比谷線 北千住−上野間 仲御徒町 副都心線 和光市−渋谷間 東新宿 大江戸線 上野御徒町−東新宿
    日比谷線 北千住(秋葉原)小伝馬町間 秋葉原 東西線 中野(九段下)竹橋間 九段下 新宿線 岩本町−九段下
    日比谷線 三ノ輪(秋葉原)小伝馬町間 秋葉原 千代田線 千駄木(新御茶ノ水)二重橋前間 新御茶ノ水 新宿線 岩本町−小川町
    日比谷線 北千住(秋葉原)小伝馬町間 秋葉原 有楽町線 和光市(市ヶ谷)新木場間 市ヶ谷 新宿線 岩本町−市ヶ谷
    日比谷線 三ノ輪(秋葉原)小伝馬町間 秋葉原 半蔵門線 水天宮前(住吉)錦糸町間 九段下 新宿線 岩本町−住吉
    日比谷線 三ノ輪(秋葉原)小伝馬町間 秋葉原 半蔵門線 永田町、半蔵門 九段下 新宿線 岩本町−九段下
    日比谷線 広尾−中目黒間 六本木 半蔵門線 永田町−押上間 青山1 大江戸線 六本木−青山1
    日比谷線 広尾−中目黒間 六本木 南北線 目黒(麻布十番)赤羽岩淵間 麻布十番 大江戸線 六本木−麻布十番
    東西線 竹橋−西船橋間 九段下 副都心線 和光市−渋谷間 新宿三丁目 新宿線 九段下−新宿三丁目
    東西線 木場−西船橋間 門前仲町 有楽町線 豊洲−新木場間 月島 大江戸線 門前仲町−月島
    東西線 竹橋(門前仲町)西船橋間 門前仲町 有楽町線 桜田門(月島)新木場間 月島 大江戸線 門前仲町−月島
    東西線 茅場町(門前仲町)西船橋間 門前仲町 半蔵門線 水天宮前(清澄白河)押上間 清澄白河 大江戸線 門前仲町−清澄白河
    東西線 木場−西船橋間 門前仲町 南北線 目黒−白金高輪 麻布十番 大江戸線 門前仲町−麻布十番
    千代田線 北綾瀬−湯島間 新御茶ノ水 副都心線 和光市−渋谷間 新宿三丁目 新宿線 小川町−新宿三丁目
    有楽町線 銀座1(月島)新木場間 月島 半蔵門線 三越前(清澄白河)押上間 清澄白河 大江戸線 月島−清澄白河
    南北線 東大前−赤羽岩淵間 後楽園 副都心線 和光市−渋谷間 東新宿 大江戸線 春日−東新宿

    [4] 首都圏の各事業者は、連絡運輸規則等により下表のとおり乗継割引対象区間を設定している。これらの多くは運賃値上げ認可の見返りとして、運輸省の指導のもとに行われたようだ。「東京都交通局80年史」(平成4年3月31日、東京都交通局)によると、
     昭和59年1月の私鉄運賃改定にあたり運輸省は、相互直通運転を行う各社に対し乗継運賃割引制度を導入するよう指導した。(中略)
     この後、63年5月の私鉄運賃改定の際には、運輸省からさらに乗継割引運賃拡大の指導があり、相互直通運転を行っていなくても、年間3万人以上の乗換え客のいる駅間に乗継運賃割引制度を導入するという内容だった。(中略)
     3年3月、北総開発鉄道との相互直通運転の開始に際しても、運輸省から新たな乗継割引運賃の設定を求められた。その主旨としては、1)北総線が新線であることから運賃が高く、都心までの運賃が同じくらいの距離にある多摩ニュータウンとくらべると2倍近くになること、2)競合線に対抗して都心までの運賃を少しでも下げ、乗客誘致をはかることが交通政策上からも望ましいこと、3)都営線と京成線は北総線からの旅客については一般旅客よりもコストが低いはずであること、などがあげられた。この割引制度は、北総線と都営線との相互発着通、都営線を経由して営団線との相互発着となる乗客に対して適用されるものであった。

    首都圏の鉄道事業者の乗継割引対象区間(事業者名から首都圏乗継運賃割引規定の各事業者の規定にリンク)
    事業者 区分 開始日 対象駅・区間
    東京メトロ・都営地下鉄 相互間 61/06/01 全駅。接続駅を指定しない
    JR東日本 メトロ相互直通 82/04/20 直通区間(10キロ、170円を限度)
    民鉄ノーラッチ接続駅 a) b) c) f) g) 84/01/25 初乗り運賃区間(3キロ、140円)
    東京メトロ JR相互直通 82/04/20 接続駅から2駅(制度発足後の新設駅である西新宿、妙典は不算入)
    民鉄相互直通 84/01/25
    JRノーラッチ接続駅 a) 90/11/01
    民鉄接続駅
    対北総(都営・京成経由) 91/03/31 全駅
    都営地下鉄 相互直通 84/07/04 接続駅から2駅
    対北総(京成経由) 91/03/31 全駅
    民鉄接続駅 92/02/05 接続駅から2駅
    対京急(羽田空港第3ターミナル−羽田空港第1・第2ターミナル) 05/08/24 全駅
    対京成(空港第2ビル、成田空港) 05/08/24
    東武 相互直通 84/01/25 初乗り運賃区間(4キロ、150円)
    その他 88/05/18
    西武 相互直通・ノーラッチ接続駅 b) 84/01/25 初乗り運賃区間(4キロ、150円)。拝島接続は2区(8キロ、180円)、武蔵境接続は多磨(4.1キロ、180円)
    2ラッチ接続駅 88/05/18
    京成 相互直通 84/01/25 初乗り運賃区間(3キロ、130円)
    民鉄接続駅 91/11/20
    対新京成(京成津田沼接続) ?? 初乗り運賃区間(3キロ、140円)及び実籾・京成幕張(160円)、検見川(190円)
    対都営地下鉄 05/08/24 空港第2ビル・成田空港
    対京急(羽田空港第3ターミナル−羽田空港第1・第2ターミナル) 05/08/24
    京王 相互直通・ノーラッチ接続駅 c) d) 84/01/25 初乗り運賃区間(4キロ、120円)
    2ラッチ接続駅 88/05/18
    小田急 相互直通・ノーラッチ接続駅 d) e) 84/01/25 接続駅から4キロまで(初乗り運賃区間は、3キロ、130円)
    2ラッチ接続駅 88/05/18
    東急 相互直通・ノーラッチ接続駅 f) 84/01/25 初乗り運賃区間(3キロ、130円)または接続駅から2駅
    2ラッチ接続駅 88/05/18
    京急 相互直通・ノーラッチ接続駅 g) 84/01/25 初乗り運賃区間(3キロ、140円)
    2ラッチ接続駅 88/05/18
    対都営地下鉄 05/08/24 羽田空港第3ターミナル−羽田空港第1・第2ターミナル
    対京成(空港第2ビル・成田空港) 05/08/24
    相鉄 民鉄接続駅 ?? 初乗り運賃区間(3キロ、150円、いずみ野線は170円)、ノーラッチの大和 e)は2区(7キロ、180円)まで
    新京成 対京成(京成津田沼接続) ?? 初乗り運賃区間(5キロ、150円)
    北総 対京成(京成高砂接続) 91/03/31 初乗り運賃区間(3キロ、210円)
    対都営地下鉄(京成経由) 全駅
    対東京メトロ(京成・都営経由)
    東葉高速 対東京メトロ(西船橋接続) 96/04/27 初乗り運賃区間(3キロ、210円)
    埼玉高速 対東京メトロ(赤羽岩淵接続) 01/03/28 初乗り運賃区間(3キロ、210円)
    横浜高速 (みなとみらい線) 対東急、京急、相鉄(横浜接続) 04/02/01 初乗り運賃区間(3キロ、190円)
    a) 西船橋は、現在1ラッチ(中間改札設置)
    b) 拝島は、現在2ラッチ
    c) 分倍河原は、現在1ラッチ
    d) 下北沢は、現在2ラッチ
    e) 大和は、現在1ラッチ
    f) 菊名は、現在2ラッチ
    g) 八丁畷は、簡易型自動改札機設置

    首都圏乗継割引設定全区間(割引額10円は、民鉄のみの割引で、JRは負担しない)
    事業者 乗継相手 ラッチ 接続駅 割引対象区間 割引額
    JR東日本 京急 1 a) 品川 高輪ゲートウェイ、田町、大井町、大崎、五反田 10円
    東急 2 大井町 品川、大森 10円
    東急 2 蒲田 大森 10円
    東急相鉄 2 横浜 東神奈川、保土ケ谷、桜木町、関内 10円
    京急 1
    東急 1 五反田 品川、大崎、目黒、恵比寿 10円
    東急 2 目黒 大崎、五反田、恵比寿 10円
    京王東急 2 渋谷 恵比寿、原宿、代々木 10円
    京王小田急 1 新宿 原宿、代々木、新大久保、高田馬場、信濃町、千駄ケ谷、大久保、東中野 10円
    西武 1 高田馬場 新宿、新大久保、目白、池袋 10円
    東武西武 2 池袋 高田馬場、目白、大塚、巣鴨、板橋 10円
    東急 2 武蔵小杉 平間、向河原、武蔵中原、武蔵新城(新川崎は設定なし) 10円
    東急 2 武蔵溝ノ口 武蔵新城、津田山、久地 10円
    小田急 2 登戸 久地、宿河原、中野島 10円
    京王 1 分倍河原 府中本町、西府、谷保、北府中 20円
    京急 1 b) 八丁畷 川崎−矢向間、川崎新町、小田栄、浜川崎 20円
    東急 2 菊名 大口、新横浜、小机 20円
    東急 2 長津田 十日市場、成瀬 10円
    東京メトロ 中野 高円寺−三鷹間 20円
    京王 2 吉祥寺 西荻窪、三鷹 10円
    西武 1 武蔵境 三鷹、東小金井 20円
    西武 1 国分寺 武蔵小金井、西国分寺 20円
    西武 1 拝島 昭島、牛浜、福生、熊川、東福生 20円
    東武 2 大宮 与野、さいたま副都心、土呂、与野本町、北与野 10円
    東京メトロ1 北千住 亀有、金町 20円
    東京メトロ 0 綾瀬 亀有 10円
    東武 2 南柏、北柏 10円
    東武 2 亀戸 両国、平井間 10円
    東京メトロ 西船橋1 船橋−津田沼間 20円
    東京メトロ 1 西船橋2 下総中山、船橋法典 10円
    東武 2 船橋 西船橋、東船橋 10円
    東京メトロ 都営地下鉄 0-2 c) 全接続駅 全駅 70円
    北総1 2 京成高砂(都営・京成経由) 90円
    北総2 2 京成高砂(都営・京成経由) 100円
    東武 2 浅草 田原町、稲荷町 20円
    京王 2 渋谷 表参道、外苑前、青山一丁目、代々木公園、明治神宮前、乃木坂、北参道 20円
    東急 直/0/2 d) 渋谷
    東武西武 2 池袋 新大塚、茗荷谷、千川、要町、東池袋、護国寺、雑司が谷、西早稲田 20円
    京王小田急西武(西武新宿) 2 新宿 新宿御苑前、新宿三丁目、西新宿、中野坂上、新中野、中野新橋、東新宿、北参道 20円
    JR東日本 北千住1 町屋、西日暮里 20円
    東武 直/0 北千住2 南千住、三ノ輪、北綾瀬、綾瀬、町屋、西日暮里 20円
    東急 0 中目黒 恵比寿、広尾 20円
    JR東日本 中野 落合、高田馬場 20円
    西武 2 高田馬場 中野、落合、早稲田、神楽坂 20円
    JR東日本1東葉高速 西船橋 行徳−原木中山間 20円
    JR東日本2 1 10円
    JR東日本 0 綾瀬 北綾瀬 10円
    京成 2 町屋 南千住、綾瀬、北千住、西日暮里、千駄木 20円
    小田急 直/0 代々木上原 代々木公園、明治神宮前 20円
    東武 和光市 地下鉄成増、地下鉄赤塚 20円
    西武 直/0 小竹向原 平和台、氷川台、千川、要町 20円
    東武 押上 住吉、錦糸町 20円
    京成 2
    東急 目黒 白金台、白金高輪 20円
    埼玉高速鉄道 赤羽岩淵 志茂、王子神谷 30円
    都営地下鉄 東京メトロ 0-2 c) 全接続駅 全駅 70円
    京成1 押上 全駅 60円
    京成2 押上 浅草、本所吾妻橋 20円
    北総1 押上(京成)高砂 全駅 30円
    北総2 押上(京成)高砂 40円
    東武 2 浅草 浅草橋、蔵前、本所吾妻橋、押上、新御徒町、両国 20円
    京急1 直/0 泉岳寺 全駅 60円
    京急2 直/0 泉岳寺 五反田、高輪台、三田、大門、白金高輪、芝公園 20円
    東急 目黒 白金台、白金高輪 20円
    京王 直/0 新宿1 新宿三丁目、曙橋、西新宿五丁目、都庁前、代々木、国立競技場 20円
    小田急 2 新宿2 新宿三丁目、曙橋、西新宿五丁目、都庁前 20円
    西武(西武新宿) 2 新宿西口 西新宿五丁目−新宿間、東新宿、若松河田 20円
    西武 2 中井 新江古田、落合南長崎、東中野、中野坂上 20円
    西武 2 練馬 練馬春日町、豊島園、新江古田、落合南長崎 20円
    東武 東京メトロ都営地下鉄 2 浅草 とうきょうスカイツリー−東向島間、小村井 20円
    京成(京成関屋) 2 牛田 曳舟−堀切間、北千住−五反野間 20円
    東京メトロ2 直/0 北千住 東向島−梅島間 20円
    東京メトロ 押上 曳舟−鐘ヶ淵間、小村井−亀戸水神間 20円
    JR東日本 2 亀戸 亀戸水神−曳舟間 10円
    JR東日本 2 船橋 新船橋、塚田 10円
    JR東日本 2 初石−増尾間 10円
    JR東日本 2 大宮 北大宮−大和田間 10円
    JR東日本 2 池袋 北池袋−中板橋間 10円
    東京メトロ西武 2 20円
    東京メトロ 和光市 朝霞、朝霞台 20円
    西武 JR東日本 2 池袋 椎名町、東長崎 10円
    東京メトロ東武 2 20円
    都営地下鉄 2 練馬 東長崎−桜台間、中村橋−練馬高野台間、新桜台、小竹向原 20円
    東京メトロ(新宿)都営地下鉄(新宿西口) 2 西武新宿 高田馬場−中井間 20円
    JR東日本 1 高田馬場 西武新宿、下落合−新井薬師前間 10円
    東京メトロ 2 20円
    都営地下鉄 2 中井 西武新宿−下落合間、新井薬師前−野方間 20円
    JR東日本 1 国分寺 恋ヶ窪、鷹の台、一橋学園、青梅街道 20円
    JR東日本 2 拝島 玉川上水−西武立川間 20円
    東京メトロ 直/0 小竹向原 新桜台、練馬、桜台、豊島園 20円
    JR東日本 1 武蔵境 新小金井、多磨 20円
    京成 東京メトロ 2 町屋 日暮里、新三河島、千住大橋、京成関屋 20円
    東武(牛田) 2 京成関屋 町屋、千住大橋、堀切菖蒲園、お花茶屋 20円
    北総 直/0/2 e) 京成高砂 お花茶屋、青砥、京成小岩、江戸川、京成立石、柴又、京成金町 20円
    新京成 直/0 京成津田沼 船橋競馬場、谷津、京成大久保、実籾、京成幕張本郷−検見川間 20円
    東京メトロ 2 押上 京成曳舟、八広 20円
    都営地下鉄1 押上 空港第2ビル、成田空港 60円
    都営地下鉄2 押上 京成曳舟、八広 20円
    京急 押上(都営)泉岳寺 空港第2ビル、成田空港 90円
    京王 JR東日本 1 新宿 初台−笹塚間 10円
    都営地下鉄1 直/0 20円
    東京メトロ小田急 2
    小田急 2 下北沢 笹塚−桜上水間、渋谷−池ノ上間、新代田−西永福間 20円
    JR東日本 1 分倍河原 多磨霊園−府中間、中河原、聖蹟桜ヶ丘、府中競馬正門前 20円
    JR東日本 2 渋谷 神泉−東松原間 10円
    東京メトロ東急 2 20円
    JR東日本 2 吉祥寺 高井戸−井の頭公園間 10円
    小田急 JR東日本 1 新宿 南新宿−代々木上原間 10円
    東京メトロ都営地下鉄2京王 2 20円
    東京メトロ 直/0 代々木上原 新宿−代々木八幡間、東北沢−豪徳寺間 20円
    京王 2 下北沢 参宮橋−東北沢間、世田谷代田−経堂間 20円
    JR東日本 2 登戸 成城学園前−和泉多摩川間、向ヶ丘遊園−読売ランド前間 10円
    相鉄 2 海老名 相武台前、座間、厚木、本厚木 20円
    東急 2 中央林間 相模大野、東林間、南林間、鶴間 20円
    相鉄 1 大和 南林間、鶴間、桜ヶ丘、高座渋谷 20円
    相鉄 2 湘南台 高座渋谷、長後、六会日大前、善行 20円
    東急 JR東日本 2 渋谷 池尻大橋、三軒茶屋、代官山、中目黒 10円
    東京メトロ 直/0/2 d) 20円
    京王 2
    東京メトロ 0 中目黒 渋谷、代官山、祐天寺、学芸大学 20円
    JR東日本 2 武蔵小杉 田園調布−新丸子間、元住吉、日吉、沼部 10円
    JR東日本 2 菊名 綱島、大倉山、妙蓮寺、白楽 20円
    JR東日本 2 横浜 白楽−反町間 10円
    京急相鉄 2 20円
    横浜高速
    JR東日本 2 目黒 不動前−西小山間 10円
    東京メトロ都営地下鉄 20円
    JR東日本 2 蒲田 下丸子−矢口渡間、千鳥町−蓮沼間 10円
    JR東日本 1 五反田 大崎広小路−荏原中延間 10円
    JR東日本 2 大井町 下神明−荏原町間 10円
    JR東日本 2 溝の口 二子玉川−高津間、梶が谷、宮崎台 10円
    JR東日本 2 長津田 青葉台、田奈、つくし野、すずかけ台 10円
    小田急 2 中央林間 南町田グランベリーパーク、つきみ野 20円
    京急 都営地下鉄1 直/0 泉岳寺 羽田空港第3ターミナル−羽田空港第1・第2ターミナル 60円
    都営地下鉄2 直/0 泉岳寺 品川−新馬場間 20円
    京成 泉岳寺(都営)押上 羽田空港第3ターミナル−羽田空港第1・第2ターミナル 90円
    JR東日本 1 品川 泉岳寺、北品川−鮫洲間 10円
    JR東日本 1 b) 八丁畷 六郷土手、京急川崎、鶴見市場−花月総持寺間、港町 20円
    JR東日本 1 横浜 子安−神奈川間、戸部、日ノ出町 10円
    東急相鉄横浜高速 2 20円
    相鉄 JR東日本 2 横浜 平沼橋−天王町間 10円
    東急京急横浜高速 2 20円
    小田急 1 大和 二俣川−瀬谷間、相模大塚−かしわ台間 20円
    小田急 2 海老名 さがみ野、かしわ台 20円
    小田急 2 湘南台 いずみ中央、ゆめが丘 20円
    埼玉高速 東京メトロ 赤羽岩淵 川口元郷 30円
    新京成 京成 直/0 京成津田沼 新津田沼−習志野間 20円
    北総 東京メトロ1 2 京成高砂(京成・都営経由) 新柴又−松飛台間 90円
    東京メトロ2 2 京成高砂(京成・都営経由) 大町−印旛日本医大間 100円
    都営地下鉄1 京成高砂(京成)押上 新柴又−松飛台間 30円
    都営地下鉄2 京成高砂(京成)押上 大町−印旛日本医大間 40円
    京成 直/0/2 e) 京成高砂 新柴又 20円
    東葉高速 東京メトロ 西船橋 東海神 20円
    横浜高速(みなとみらい線) 東急 横浜 新高島−馬車道間 20円
    京急相鉄 2
    a) 連絡改札口が1箇所でもある駅は、1ラッチとした(以下共通)
    b) 簡易型自動改札機を設置
    c) 白金高輪、九段下はノーラッチ、市ヶ谷、後楽園=春日、門前仲町、青山一丁目、人形町は1ラッチ
    d) メトロ銀座線が別改札
    e) 京成金町線が別改札

    同一事業者の路線間の乗継割引
    事業者 接続駅 割引対象区間1 割引対象区間2 割引額
    京成 千葉中央 本線・千葉線谷津(京成津田沼)新千葉間 千原線千葉寺−ちはら台間 40円
    千葉線京成千葉 千原線千葉寺−大森台間 50円
    千原線学園前−ちはら台間 70円
    東急 長津田 田園都市線青葉台、田奈、つくし野、すずかけ台 こどもの国線(第2種)恩田、こどもの国 20円

    [5] ヨーロッパ各都市のゾーン運賃制の採用は、LRTの導入(在来鉄道からの乗り入れ)にあわせて公共交通の利便性を向上させ、自動車利用から誘導する手段としての側面がある。日本では大都市圏の通勤通学需要がほとんど鉄・軌道系によって担われており、この面では、誘導の効果はほとんどない。むしろ、地方中核都市での導入が急務だろう。検討が開始されたという、富山港線や吉備線のLRT化、市内乗り入れのケースでは、これにあわせてゾーン運賃制を採用すべきだろう。(なお富山港線は、2006年3月廃止、4月29日富山ライトレールとして開業した。2020年2月富山地方鉄道と合併、3月富山駅で南北軌道線の直通運転開始し、全線均一運賃とした)
    [6] 東京メトロのSFメトロカード規則の運賃計算・効力に関する規定は、「・・・入場時に最低運賃相当額をカードから減算し、出場時に当該乗車区間の片道普通旅客運賃に対する差額運賃相当額を減算する。・・・」(第10条第2項)、「当該乗車区間に対する運賃計算経路にかかわらず、営業規則第158条の規定により、他の経路を乗車することができる。」(第11条第2号)とあるだけで、各事業者にまたがった最短運賃距離で運賃計算するという規定は存在しない。実際の運賃より安い運賃を適用し、旅客にとって有利になるのだから、とくに約款に定めなくても良いということなのか。(PASMOの約款に関連規定ができた。追記5参照)

    改訂履歴
    2003/06/08: 関連データ集への「都営-営団-都営連絡定期券発売区間」の掲載にともない脚注3を訂補
    2003/07/07: 関連データ集への「首都圏乗継割引設定区間」の掲載にともない脚注4を訂補
    2003/09/21: 誤記(水天宮前−北千住間の営団経由の最低運賃経路)の訂正。[水天宮前(半蔵門)大手町(千代田)北千住]→[水天宮前(半蔵門)三越前(銀座)上野(日比谷)北千住]
    2003/12/20: 関連データ集への「営団-都営-営団連絡定期券発売区間」の追加にともない脚注3を訂補
    2004/12/11: 2012年東急問題を追記(追記1)。表のスタイル変更。「関連データ集」のデータの脚注への取り込み。脚注の「営団」を「東京メトロ」へ変更。
    2005/01/15: パスネットが最低運賃を引き落とさない例を追記(追記2)
    2005/11/09: 11月5日付「朝日新聞」の記事を追記(追記3)
    2006/02/21: ウェブに掲載されている「名古屋市高速電車乗車料条例施行規程」、「大阪市高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程」、「神戸市高速鉄道乗車料条例施行規程」にあたり、脚注2を改訂。 脚注3で、メトロ・都営連絡割引運賃及び定期券の通過連絡運輸について、「東京都地下高速電車連絡運輸規程」及び「東京都地下高速電車旅客営業規程」の根拠条文を明示。
    2006/02/24: 脚注2を改訂(2005年3月の東急田園都市線の加算運賃廃止に伴うルール変更を反映)。「東京都地下高速電車旅客営業規程」の最新版にあたり、脚注3の「営団・都営通過連絡定期券発売区間」を追加
    2006/09/30: 東急の旅規により、脚注2を改訂。2005年3月の東急田園都市線の加算運賃廃止に伴うルール変更(2006/02/24付改訂で記載)は行われなかったことが判明。脚注5に追記
    2006/10/22: Catalytic氏の情報により、脚注2を改訂
    2007/03/04: PASMOについて追記(追記4
    2007/04/09: PASMOの約款について追記(追記5)。脚注6に追記
    2008/03/11: 追記4の表2を訂正(割引のない区間を削除)、追記6を掲載
    2008/06/14: 脚注4の首都圏乗継割引設定全区間に東京メトロ副都心線の開業に伴う新適用区間を追加
    2008/11/25: 脚注3の「営団・都営通過連絡定期券発売区間」に東京メトロ副都心線の開業に伴う新適用区間を追加(「東京都地下高速電車旅客営業規程」の改定に対応)
    2009/02/14: 脚注2の表の東京メトロの項、判定の根拠の「旅客営業規則(70条)」に「旧営団・」を追加(東京メトロの旅規は確認していないが、条番号が変更になっている可能性あり)。同項及び大阪市営地下鉄の項に、ラッチ外乗換時の30分制限を付記。脚注3のパスネットをPASMOに変更。脚注4の「首都圏乗継割引設定全区間」のJR東日本・分倍河原、八丁畷、菊名、武蔵境、国分寺、拝島各駅接続の割引額10円を20円に訂正
    2010/01/28: 「運送せずに運賃収入」の項中、山手線渋谷・目黒間の運賃の誤りを訂正(読者の方から指摘を受けました)。脚注2の表の東京メトロの項、「旧営団・旅客営業規則(70条)」を「東京地下鉄旅客営業規程(43条)」に変更。脚注4の「首都圏乗継割引設定全区間」の北総開発を北総に変更
    2010/04/12: 脚注2の表の都営地下鉄の項、磁気乗車券には30分の乗継時間制限がないことを明記。脚注4の「首都圏乗継割引設定全区間」の都営地下鉄−京成−北総の3社乗継割引の金額を訂正
    2010/05/08: 脚注4の表を全面更新(新京成⇔京成、北総⇔京成、横浜高速みなとみらい線⇔東急、京急、相鉄を追加。分倍河原接続JR東⇔京王に西府駅を追加。新宿接続都営⇔京王を訂正。JR東日本の武蔵小杉接続に新川崎からの設定がないことを注記。同一事業者の別路線間の乗継割引を追加)。デッドリンクを解消(新ページにジャンプするものは、そのままにした)
    2010/08/20: 脚注3脚注4に乗継運賃割引制度の歴史を記載。脚注3に営団・都営の乗継割引額の推移を掲載。脚注4の表「乗継割引対象区間」の区分を再構成、開始日を記載して全面改訂。「首都圏乗継割引設定全区間」に接続駅のラッチ数を記載、漏れていた東京メトロから都営・京成を介した北総線への乗継割引及び京急・都営・京成間の空港連絡割引を追加。
    2011/01/13: 脚注2を更新(富山地方鉄道の取扱区分を確定。神戸新交通を追加。近鉄旅規へのリンクを挿入。環状線区間を有する均一運賃制事業者について付記。名古屋市営地下鉄の旅規のURLの誤りを訂正)
    2011/01/17: 脚注2を更新(近鉄の項に追記。神戸新交通の項を旅規に基づき改訂。)
    2011/02/07: 脚注2を全面改訂(京成を追加。「環状線の旅規規定」を掲載し各社の旅規条文にリンク。)
    2012/03/31: 表2の運賃の誤り(馬橋・田町、馬橋・信濃町、馬橋・千駄ヶ谷)を訂正(読者の方からご指摘を受けました)
    2013/10/03: 脚注3の東京メトロ・都営通過連絡定期券発売区間を改訂(2013/03/16の秋葉原=岩本町の連絡運輸開始に対応)
    2014/04/25: 脚注2表(環状線区間の運賃計算及びう回乗車の取扱)の東急の項を改訂
    2016/05/10: デッドリンクを解消
    2018/10/31: 脚注2を更新(富山地方鉄道の旅規掲載を反映。大阪市営地下鉄を大阪市高速電気軌道に変更)
    2020/04/14: 目次を記載。東武鉄道、西武鉄道、京成電鉄及び阪急電鉄の旅規がウェブに掲載されたことに伴い、脚注2を改訂。脚注3の東京メトロと都営乗継運賃割引の推移に、2014年4月1日の消費税率8%対応の運賃改定時を追加(2019年10月1日の10%対応時はメトロ・都営とも初乗り運賃の変更なし)。 東京メトロ・都営通過連絡定期券発売区間を1区間削除し、1区間追加。脚注4を2019年10月1日の新運賃を反映して改訂。接続駅のラッチ数及び注を改訂。京急羽田空港2駅の改称を反映。脚注5に富山地方鉄道と富山ライトレールの合併及び南北接続を追記
    2020/04/21: 脚注4の接続駅のラッチ数及び注記の改訂漏れを訂正(読者から指摘を受けました)。
    2020/04/24: 脚注4の「首都圏乗継割引設定全区間」に漏れていた東武牛田・京成京成関屋接続の乗継割引を追加。「首都圏乗継運賃割引規定」を掲載し、各事業者の関連規定にリンク
    2020/05/01: 脚注4の「首都圏乗継割引設定全区間」の渋谷駅関連のリンク不具合を訂正。メトロ渋谷駅の乗継区間に代々木公園を追加(読者から指摘を受けました)
    2020/05/11: 脚注4の「首都圏乗継割引設定全区間」のメトロ⇔東急(渋谷接続)、京成⇔北総(京成高砂接続)のラッチ数を変更し注記。都営の対東武(浅草接続)の割引区間に新御徒町、両国を追加(読者から指摘を受けました)
    2020/05/17: 脚注4の「首都圏乗継割引設定全区間」の私鉄・JRの旧ノーラッチ接続駅の割引額等の誤記を訂正(読者から指摘を受けました)
    2020/07/01: 脚注4の同一事業者の路線間の乗継割引の京成千葉線京成幕張本郷−新千葉間を谷津(京成津田沼)新千葉間に訂正(読者から指摘を受けました)
    2020/07/03: 脚注2の東京メトロの旅規のurlを変更。乗換時間制限を60分に変更
    2020/08/17: 脚注2および脚注3の乗換時間制限の60分への変更漏れを訂正。「首都圏乗継運賃割引規定」に新たにウェブ公開した京王電鉄および横浜高速鉄道の規定を追加し脚注4からリンク(読者から指摘を受けました)
    2023/03/29: 脚注4の「首都圏乗継割引設定全区間」の注f)及び「首都圏乗継割引設定全区間」のJR東日本・東急菊名のラッチ数を2に変更(読者から指摘を受けました)

    初出 2003/05/29
    最終更新 2023/03/29
    (C) 2003 - 23 Desktoptetsu

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