新幹線と在来線 − 同一路線扱いの虚構と矛盾


新幹線と並行在来線の取扱はJRの旅客営業規則をめぐるFAQの一分野である。 JRの旅客営業規則第16条の2は、新幹線と在来線は同一路線として取り扱うと定めているが、さまざまな制度上の矛盾が指摘されている。 その問題点を紹介し、これを解消するための旅規の改定案を考えてみたい。

目次
旅客営業規則の条項
新幹線経由の表示
新在別線区間に係わる乗車券
  • 発着駅の例
  • 接続駅の例
  • 選択乗車による重複乗車
  • 新在別線通過型
  • 新幹線独立駅発着型
  • 新在接続(通過・発着)型
  • 図1 新在別線通過型選択乗車による復乗のタイプ
    表1 新在別線通過型選択乗車による復乗
    図2 新幹線独立駅発着型選択乗車による復乗のタイプ
    表2 新幹線独立駅発着型選択乗車による復乗
    大都市近郊区間の取扱 表3 大都市近郊区間の取扱
    新下関・博多間の特例 図3 最長片道切符の九州ルート
    新在別線の原則に


    旅客営業規則の条項

    まずは、新幹線と並行在来線に係わる旅客営業規則(以下「規則」)の条項にあたってみよう。

    原則:東海道、山陽、東北(東京・盛岡間)、上越、九州(博多・新八代間及び川内・鹿児島中央間)、西九州(諫早・長崎間)の各新幹線とこれに並行する在来線は、山陽新幹線の新下関・博多間を除き、同一の線路として取り扱う(規則第16条の2)

    (東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、鹿児島本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)及び信越本線(新幹線)に対する取扱い)
    第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。
    (1) 東海道本線及び山陽本線中神戸・新下関間 東海道本線(新幹線)及び山陽本線(新幹線)中新神戸・新下関間
    (2) 東北本線 東北本線(新幹線)
    (3) 高崎線、上越線及び信越本線 高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)及び信越本線(新幹線)
    (4) 鹿児島本線中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央間 鹿児島本線(新幹線)中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央間
    (5) 長崎本線中諫早・長崎間 長崎本線(新幹線)

    新幹線と並行在来線は、同一の線路として取り扱うという原則を定めたものである。従来は全区間同一線路扱いだったものが、1996年1月の三島会社の運賃体系変更にともない新下関・博多間が第1号から外れた。

    例外:新幹線の駅が並行在来線上にない場合、この駅を中間に挟む区間内の駅を発着駅または接続駅とする場合は、別線として取り扱う(規則第16条の2第2項)

    2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間内の駅(品川、小田原、三島、静岡、名古屋、米原、新大阪、西明石、福山、三原、広島、徳山、福島、仙台、一ノ関、北上、盛岡、熊谷、高崎、越後湯沢、長岡、新潟、博多、久留米、筑後船小屋及び熊本の各駅を除く。)を発駅若しくは着駅又は接続駅とする場合は、線路が異なるものとして旅客の取扱いをする。
    (1) 品川・小田原間
    (2) 三島・静岡間
    (3) 名古屋・米原間
    (4) 新大阪・西明石間
    (5) 福山・三原間
    (6) 三原・広島間
    (7) 広島・徳山間
    (9) 福島・仙台間
    (9) 仙台・一ノ関間
    (10)一ノ関・北上間
    (11)北上・盛岡間
    (12)熊谷・高崎間
    (13)高崎・越後湯沢間
    (14)長岡・新潟間
    (15)博多・久留米間
    (16)筑後船小屋・熊本間

    新下関・博多間の特例:新下関・博多間は別線だが、乗車券の発行要件等においては、同一の線路として取り扱う(規則第16条の3)

    (新幹線と新幹線以外の線区の取扱いの特例)
    第16条の3 次の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区に関し、第26条第1号ただし書、第2号ただし書及び第3号にそれぞれ規定する普通乗車券の発売、第68条第4項に規定する鉄道の旅客運賃計算上の営業キロ等の計算方並びに第242条第2項に規定する区間変更の取扱いにおける旅客運賃・料金の通算方又は打切方については、前条第1項の規定を準用する。
    山陽本線中新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・博多間 山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間及び鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間

    この条項は、乗車券の発売要件や運賃計算においては、新在を同一路線として取り扱うことを定めたものである。この条項により、東京都区内−福岡市内の往路在来線、復路新幹線の往復割引乗車券が発売される。

    整備新幹線:並行在来線がJRから分離された区間については、新幹線は単一の路線として扱う(規則第16条の4)

    (東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹線、北海道新幹線及び西九州新幹線に対する取扱い)
    第16条の4 東北新幹線盛岡・新青森間、北陸新幹線高崎・金沢間、九州新幹線新八代・川内間、北海道新幹線新青森・新函館北斗間及び西九州新幹線武雄温泉・諫早間については、単一の線路として旅客の取扱いをする。

    1997年開業の北陸(長野)新幹線以降の整備新幹線(九州新幹線博多・新八代間及び川内・鹿児島中央間並びに西九州新幹線諫早・長崎間を除く)は、並行在来線が経営分離され、第三セクターに移管された。なお、2022年開業の西九州新幹線の並行在来線江北(肥前山口から改称)・諫早間は上下分離し、JR九州が第2種事業者として運行を継続する。施設を保有する第3種事業者は、佐賀・長崎両県が設立した一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター。

    これらの条文から、JR各社において新幹線が在来線の新線増線として扱われていることがわかる。規則における新幹線の線名は、国鉄時代の線路名称を引継いだJR各社の線路名称に従っており、整備新幹線の並行在来線が存在しない区間のみが○○新幹線の通称を使用している。一方国土交通省監修の「鉄道要覧」は、全ての路線について通称を用いている[1]


    新幹線経由の表示

    1987年の分割民営化により、東京・熱海間、米原・新大阪間、新下関・博多間で並行する路線の事業者が異なることになった。このため本来同一線扱いであるにもかかわらず、旅客会社間の運賃配分の必要から、券面の経由欄に「新幹線」等新在の別を表示することになった。

    JR発足時の1987年4月1日施行の規則第263条の2には、新幹線と在来線の事業者が異なる区間で、在来線経由の乗車券を所持する旅客が新幹線に乗車する場合は、改札口で新幹線振替票を公布し、下車駅の改札口で回収する旨の規定があった。

    (新幹線に乗車する場合の特殊取扱)
    第263条の2 第16条の2第1項第1号に規定する線区に有効な乗車券を所持する旅客のうち、熱海・米原間及び新大阪・新下関間相互発着となる乗車券以外の乗車券であつて、新幹線以外の線区を有効とする乗車券(別に定める乗車券に限る。)を所持する旅客が新幹線に乗車する場合は、乗車の際係員が交付する新幹線振替票を所持するものとする。
    2 前項の規定により交付した新幹線振替票は、新幹線下車の際、係員に引き渡すものとする。
    3 新幹線振替票の様式は、別に定める。

    その詳細は、旅客営業取扱基準規程(以下「基準規程」)第297条の2に次のとおり規定されていた。

    (新幹線振替票の取扱方)
    第297条の2 規則第263条の2に規定する新幹線振替票の交付等の取扱方は、次の各号に定めるところによる。
    (1) 交付方
     新幹線停車駅の改札の箇所(駅内に改札の箇所が設置されている駅については、当該箇所。以下この条において「改札口」という。)において、所定の新幹線特急券を所持していることを確認のうえ、当該旅客に交付するものとする。この場合、入鋏及び発行日付は省略するものとする。
    (2) 回収方等
     改札口において新幹線の特別急行列車から下車した当該旅客から当該振替証を新幹線特急券等とともに回収する。回収した振替証は、回収日ごとにとりまとめ別に定めるところにより、審査課長に提出するものとする。
    (3) 様式
     新幹線振替証の様式は、次のとおりとする。(様式省略)

    この制度は国鉄分割民営化から1年経過した1988年4月1日に廃止されたが、実際には交付洩れ・回収洩れが多発し、旅規改定を待たずして取扱をやめたようだ。

    これにかわってマルス券では、券面に経由を表示するとともに、[]と[]でそれぞれ在来線/新幹線乗車区間を示すようになった。[]と[]は、[]を含めて、次のように12個または9個表示されている。

    都区内−京都市内(経由・新幹線、特急券一体型):■■■■■■・・・
    三島−中野(経由・新幹線):■■■■・・・・・・・・
    都区内−福岡市内(経由・在来線):□□□□□□□□□□□□
    最初の4個(または3個)は、東京・熱海間、次が米原・新大阪間、最後が新下関・博多間を示している。 この3個または4個は、一体として新在の別を表示しているのであって、それぞれが各駅間を示しているわけではない。山手線内−静岡を、小田原まで在来線、小田原から新幹線経由で発券してくれと頼んでも、
    □□□■・・・・・・・・
    のようにはならない。また、新幹線乗車が考えられない次のような乗車券にも[]が表示されている。
    有楽町−成田空港:□□□□・・・・・・・・
    この[]表示は、在来線経由の乗車券で新幹線に乗車したとき、車内改札で該当区間の[]を塗りつぶし、回収した乗車券を光学式読取装置にかけ、旅客会社間の運賃精算に使用する構想があったから、と聞いたことがある。 しかし、車掌が車内改札で[]を塗りつぶしているのを見たことがない。まして新幹線経由の乗車券で在来線に変更するときは、[]を[]に戻せない。これも「新幹線振替票」と同様、構想倒れに終わってしまったらしい。


    新在別線区間に係わる乗車券

    規則第16条の2第2項は、この区間を通過するときは、規則第16条の2第1項に基づき同一の線路として扱うが、この区間内の駅(両端駅を除く)が発着駅または接続駅となるときは別線として扱うという規定である。この規定により、次の乗車券は、片道乗車券として発売される。

    発着駅の例

  • 山手線内−草薙(新幹線・静岡・東海経由)
  • 新幹線から在来線に乗り継いで発駅方向に折り返す乗車は一般的に行われているだろう。 上記の例は、静岡駅で乗り継ぎ草薙に折り返すものだが、着駅である草薙が第16条の2第2項の三島・静岡間の駅であるので、片道乗車券として発券できる。しかし、都区内(新幹線)浜松(在来線)天竜川という同様の乗車は、掛川・浜松間が第16条の2第2項に含まれず、同一線扱いのため、浜松で打ち切られ、連続乗車券となる。

    三島・静岡間が第16条の2第2項の区間に含まれたのは、1998年3月、同区間内に新幹線新富士駅が開業したときからである。同時に、静岡・浜松間にも、新幹線掛川駅が開業した。このとき、新富士駅が在来線から独立して設置され、掛川駅が在来線に併設されたためこのような差異が生じることとなった。

    接続駅の例

  • 甲府−浜松(身延・東海・御殿場・小田原・新幹線経由)
  • この乗車券は、三島・静岡間内の在来線駅である富士と沼津を接続駅とし、その後三島・静岡間を新幹線で通過するものであるから、片道乗車券として発券可能である。
  • 新富士−御殿場(新幹線・小田原・東海・相模・中央東・身延・東海経由)
  • この乗車券は、三島・静岡間内の新幹線駅である新富士を発駅とし、在来線の富士と沼津を接続駅とするものであるから、片道乗車券として発券可能である。
    これらの規則第16条の2第2項の区間を接続駅とする乗車券を使用して、在来線を重複して乗車すること(以下「復乗」)が可能となる。規則第157条の選択乗車区間に新幹線と並行在来線相互間の選択乗車が含まれているが、復乗を禁止する明文規定がないためである。


    選択乗車による復乗

    この問題を、規則第157条の選択乗車区間のうち新幹線がらみの区間を新在別線通過型新幹線独立駅発着型及び新在接続(通過・発着)型に分類して考える。

    新在別線通過型

    規則第16条の2第2項の新在別線区間のうち、一関・北上間を除く区間に設定されている(うち、仙台・一ノ関間は、第1号と第5号の二つの選択乗車区間がある)。 三島・静岡間は、この選択乗車区間であり、規則第157条の規定は次のとおりである。
    (25)三島以遠(函南方面)の各駅と、静岡以遠(安倍川方面)の各駅との相互間(三島・富士間、三島・新富士間)(静岡・富士間、静岡・新富士間)

    選択対象の()が2個あって、選択乗車区間内に2組の選択肢が示されている。すなわち、三島・静岡間を次の4通りの乗車ができることを示している。

    ・三島−富士−静岡
    ・三島−新富士−静岡
    ・三島−富士/新富士−静岡
    ・三島−新富士/富士−静岡
    先にあげた甲府−浜松(身延・東海・御殿場・小田原・新幹線経由)の片道乗車券で、この選択乗車によって、三島・静岡間を在来線に乗車することが認められる。すると、富士・沼津間の在来線が復乗となる。

    三島・静岡間を通過するときは、もともと新在同一路線であり、富士と新富士を乗り継ぐ後者の2ケースにしか、選択乗車を定める意味がない。あえて新在別線通過型の選択乗車区間を設定し、前二者の通過型選択乗車を認めていることから、復乗を禁止する明文規定がないだけでなく、むしろ積極的にこれを認めているとも解釈しうるのである。

    このような新在別線通過型の新幹線経由の乗車券で、在来線に選択乗車することによる復乗は、選択乗車区間内の在来線に分岐駅が存在する区間に生じる。ただし分岐する路線が盲腸線だけの分岐駅及び分岐駅間同士を直接結ぶルートしかない分岐駅を除く。図1でこれを模式的に示す(赤線:発券ルート、青線:実乗ルート)。

    図1 新在別線通過型選択乗車による復乗のタイプ
    タイプA
    タイプB
    タイプC
    タイプD

    図1のタイプAは、A駅・B駅間の選択乗車区間の在来線にC、Dの二つの分岐駅があり、その分岐駅の一つ以上がA、Bの以遠駅と直接接続しているケースである。A・B間を新幹線経由で発券し、在来線に乗車すると、C・D間が復乗となる。タイプBは、在来線に二つの分岐駅(C、D)が存在するが、そのうちの一つが選択乗車区間内の新幹線駅(E)にしか接続していないケースである。例えば、(12)長岡以遠(宮内方面)=新潟以遠(白山・東新潟方面)は、在来線に新津(C)と東三条(D)の二つの分岐駅が存在し、そのうち新津は新潟の以遠駅と接続している。しかし、他の分岐駅である東三条から分岐する路線は選択乗車区間内の新幹線駅燕三条(E)に接続しているため、タイプAのように、選択乗車区間を通過する乗車券は発売されない。しかし、この場合でも、中間の新幹線駅(E)または両端駅(A、B)着駅とする6の字型乗車券が発売され、選択乗車によりC・D間またはC・A/B間が復乗となる。タイプCは、在来線の分岐駅が1駅のケースだが、この場合も両端駅(A、B)までの6の字型乗車券が発売され、C・A/B間が復乗となる。なお、タイプDは、タイプCのC駅から新幹線駅Dに直接接続している場合で、A・B間を新幹線経由で発券し、在来線に乗車すると、C駅で環状線一周となる9の字ルートとなる。これらの新在別線通過型選択乗車区間を表1に示す。

    表1 新在別線通過型選択乗車による復乗
    選択乗車区間 接続駅 乗車券の例 復乗区間
    (3)あおば通・仙台以遠(東照宮・長町・榴ケ岡方面)=一ノ関以遠(山ノ目・真滝方面)
    (9)あおば通・仙台以遠(東照宮・長町・榴ケ岡方面)=一ノ関以遠(山ノ目・真滝方面)
    小牛田 (タイプC)福島−仙台/一ノ関(新幹線・一ノ関・大船渡線・気仙沼線・石巻線・東北線経由) 仙台・小牛田間/小牛田・一ノ関間
    (タイプC)福島−古川(新幹線・一ノ関・大船渡線・気仙沼線・石巻線・陸羽東線経由) 小牛田(環状線一周)
    (9)福島以遠(南福島・笹木野方面)=あおば通・仙台以遠(東照宮・東仙台・榴ケ岡方面) 岩沼 (タイプC)南福島−仙台/福島(福島・新幹線・仙台・仙山線・奥羽線・米坂線・羽越線・磐越西線・磐越東線・常磐線・東北線経由) 岩沼・仙台間/福島・岩沼間
    (12)長岡以遠(宮内方面)=新潟以遠(白山・東新潟方面) (東三条)、新津 (タイプB)浦佐−燕三条(新幹線・新潟・白新線・羽越線・信越線・弥彦線経由) 新津・東三条間
    (タイプC)浦佐−新潟/長岡(新幹線・新潟・白新線・羽越線・信越線経由) 新津・新潟間/長岡・新津間
    (13)高崎以遠(倉賀野・北高崎方面)=越後湯沢以遠(石打・ガーラ湯沢方面) 新前橋 (タイプC)本庄早稲田−高崎/越後湯沢(新幹線・越後湯沢・上越線・只見線・磐越西線・東北線・両毛線・上越線経由) 高崎・新前橋間/新前橋・越後湯沢間
    (16)熊谷以遠(行田方面)=高崎以遠(高崎問屋町・北高崎・安中榛名方面) 倉賀野 (タイプC)行田−高崎/熊谷(熊谷・新幹線・長野・篠ノ井線・中央線・八高線・高崎線経由) 倉賀野・高崎間/熊谷・倉賀野間
    (20)品川以遠(田町・大崎・西大井方面)=小田原以遠(早川方面) 川崎、武蔵小杉、(東神奈川)、茅ヶ崎 (タイプA)三島−八王子(新幹線・品川・山手線・中央線・南武線・東海道線・相模線経由) 川崎・茅ヶ崎間
    (タイプB)舞浜−新横浜(京葉線・新幹線・小田原・東海道線・御殿場線・東海道線・横浜線経由) 東神奈川・国府津間
    (タイプC)熱海−小田原/品川(新幹線・品川・山手線・中央線・横浜線・東海道線経由) 小田原・東神奈川間/東神奈川・品川間
    (25)三島以遠(函南方面)=静岡以遠(安倍川方面) 沼津、富士 (タイプA)甲府−浜松(身延線・東海道線・御殿場線・東海道線・小田原・新幹線経由) 富士・沼津間
    (タイプC)浜松−静岡/三島(新幹線・小田原・東海道線・御殿場線・東海道線経由) 静岡・沼津間
    (28)名古屋以遠(尾頭橋・八田方面)=米原以遠(彦根・坂田方面) 岐阜 (タイプC)豊橋−米原/名古屋(新幹線・米原・北陸線・高山線・東海道線経由) 岐阜・米原間/名古屋・岐阜間
    (30)新大阪以遠(東淀川方面)=西明石以遠(大久保方面) 大阪、尼崎 (タイプA)姫路−和歌山(新幹線・京都・山陰線・福知山線・東海道線・阪和線経由) 尼崎・大阪間
    (タイプC)姫路−西明石/新大阪(新幹線・京都・山陰線・福知山線・東海道線経由) 西明石・尼崎間/尼崎・新大阪間
    (48)博多南・博多以遠(吉塚・小倉方面)=久留米以遠(荒木・久留米高校前方面) 原田、(鳥栖) (タイプB)筑後船小屋−新鳥栖(新幹線・博多・鹿児島線・篠栗線・筑豊線・鹿児島線・長崎線経由) 鳥栖・原田間
    (タイプC)筑後船小屋−博多/久留米(新幹線・博多・鹿児島線・篠栗線・筑豊線・鹿児島線経由) 原田・博多間/久留米・原田間

    新幹線独立駅発着型

    規則第16条の2第2項の新在別線区間のうち、新幹線の中間駅が単独に設置されている区間に設定されている。三島・新富士/富士間はこの例である。旅規の規定を以下に掲げる。
    (23)三島以遠(函南方面)の各駅と、新富士又は富士以遠(富士川又は柚木方面)の各駅との相互間(三島・富士間、三島・新富士間)

    ここでも、選択乗車による復乗が可能となる。新富士−御殿場(新幹線・小田原・東海・相模・中央東・身延・東海・御殿場経由)の片道乗車券で、選択乗車により、新富士・三島間を富士駅から在来線に乗車(富士・三島間)することが可能であり、富士・沼津間が復乗となる。

    新幹線独立駅発着型選択乗車による復乗は、選択乗車区間内の在来線に分岐駅が存在する区間だけでなく、すべての選択乗車区間に生じる。一方の以遠駅を越えて他方の以遠駅に連絡する他のルートが存在するためである。これを図2の模式図に示す。

    図2 新幹線独立駅発着型型選択乗車による復乗のタイプ
    タイプA
    タイプB
    タイプC
    タイプAは選択乗車区間内の在来線に分岐駅が存在するケース、タイプCは分岐駅が存在しないケースである。タイプAのB'駅発B以遠駅着(A以遠駅・C経由)の乗車券で、B'−Aに代えてB−Aに乗車することによりB−C間が復乗となり、タイプCのB'駅発A駅着(A以遠駅・B経由)の乗車券は、B−A間が復乗となる。タイプBは、B駅が分岐駅で、B以遠駅を着駅とする乗車券である。この場合B'−Aに代えてB−Aに乗車しても復乗となる区間はないが、B駅で環状線一周となる9の字ルートとなる。

    表2 新幹線独立駅発着型選択乗車による復乗
    選択乗車区間 接続駅 乗車券の例 復乗区間
    (3)一ノ関以遠(有壁・真滝方面)=水沢江刺・水沢以遠(金ヶ崎方面) (タイプC)水沢江刺−一ノ関(新幹線・古川・陸羽東線・奥羽線・北上線・東北線経由) 水沢・一ノ関間
    (4)北上以遠(村崎野・柳原方面)=水沢江刺・水沢以遠(陸中折居方面) (タイプC)水沢江刺−北上(新幹線・北上・北上線・奥羽線・陸羽東線・東北線経由) 水沢・北上間
    (6)あおば通・仙台以遠(東照宮・長町・榴ケ岡方面)=くりこま高原・新田以遠(石越方面) 小牛田 (タイプA)くりこま高原−一ノ関(新幹線・仙台・仙石線・石巻線・東北線経由) 新田・小牛田間
    (タイプC)くりこま高原−仙台(新幹線・仙台・仙山線・奥羽線・北上線・東北線経由) 新田・仙台間
    (7)一ノ関以遠(山ノ目・真滝方面)=くりこま高原・新田以遠(石越方面) (タイプC)くりこま高原−一ノ関(新幹線・一ノ関・大船渡線・気仙沼線・石巻線・東北線経由) 新田・一ノ関間
    (8)小牛田以遠(松山町・上涌谷方面)=くりこま高原・新田以遠(石越方面) (タイプC)くりこま高原−小牛田(新幹線・小牛田・石巻線・気仙沼線・大船渡線・東北線経由) 新田・小牛田間
    (10)福島以遠(南福島・笹木野方面)=白石蔵王・白石以遠(越河方面) (タイプC)白石蔵王−福島(新幹線・福島・奥羽線・仙山線・東北線経由) 白石・福島間
    (11)あおば通・仙台以遠(東照宮・東仙台・榴ケ岡方面)=白石蔵王・白石以遠(東白石方面) 岩沼 (タイプA)白石蔵王−福島(新幹線・仙台・仙山線・奥羽線・東北線・磐越東線・常磐線・東北線経由) 白石・岩沼間
    (タイプC)白石蔵王−仙台(新幹線・仙台・仙山線・奥羽線・東北線経由) 白石・仙台間
    (14)越後湯沢以遠(石打・ガーラ湯沢方面)=上毛高原・後閑以遠(沼田方面) (タイプC)上毛高原−越後湯沢(新幹線・越後湯沢・上越線・只見線・磐越西線・東北線・両毛線・上越線) 後閑・越後湯沢間
    (15)高崎以遠(倉賀野・北高崎・安中榛名方面)=上毛高原・後閑以遠(上牧方面) 新前橋 (タイプA)上毛高原−越後湯沢(新幹線・大宮・東北線・両毛線・上越線経由) 後閑・新前橋間
    (タイプC)上毛高原−高崎(新幹線・長野・飯山線・上越線経由) 後閑・高崎間
    (17)熊谷以遠(行田方面)=本庄早稲田・本庄以遠(神保原方面) (タイプC)本庄早稲田−熊谷(新幹線・大宮・東北線・両毛線・上越線・高崎線経由) 本庄・熊谷間
    (18)高崎以遠(倉賀野・北高崎・安中榛名方面)=本庄早稲田・本庄以遠(岡部方面) 倉賀野 (タイプA)本庄早稲田−大宮(新幹線・長野・篠ノ井線・中央線・八高線・高崎線経由) 本庄・倉賀野間
    (タイプC)本庄早稲田−高崎(新幹線・高崎・上越線・両毛線・東北線・高崎線経由) 本庄・高崎間
    (23)三島以遠(函南方面)=新富士・富士以遠(富士川・柚木方面) 沼津 (タイプA)新富士−御殿場(新幹線・小田原・東海道線・相模線・横浜線・中央線・身延線・東海道線・御殿場線経由) 富士・沼津間
    (タイプC)新富士−三島(新幹線・小田原・東海道線・相模線・横浜線・中央線・身延線・東海道線経由) 富士・三島間
    (24)静岡以遠(安部川方面)=新富士・富士以遠(吉原方面) (タイプC)新富士−静岡(新幹線・豊橋・飯田線・中央線・身延線・東海道線経由) 富士・静岡間
    (26)名古屋以遠(尾頭橋・八田方面)=岐阜羽島・岐阜以遠(木曽川・長森方面) (タイプC)岐阜羽島−名古屋(新幹線・名古屋・中央線・太多線・高山線・東海道線経由) 岐阜・名古屋間
    (27)米原以遠(彦根・坂田方面)=岐阜羽島・岐阜以遠(木曽川・長森方面) 岐阜 (タイプB)岐阜羽島−名古屋(新幹線・米原・北陸線・高山線・東海道線経由) 岐阜(環状線一周)
    (タイプC)岐阜羽島−米原(新幹線・米原・東海道線・草津線・関西線経由) 岐阜・米原間
    (31)新大阪以遠(東淀川方面)=新神戸・神戸以遠(兵庫方面) 大阪、尼崎 (タイプA)新神戸−和歌山(新幹線・京都・山陰線・福知山線・東海道線・阪和線経由) 尼崎・大阪間
    (タイプC)新神戸−新大阪(新幹線・京都・山陰線・福知山線・東海道線経由) 神戸・新大阪間
    (32)西明石以遠(大久保方面)=新神戸・神戸以遠(元町方面) (タイプC)新神戸−西明石(新幹線・西明石・山陽線・加古川線・福知山線・山陰線・東海道線経由) 神戸・西明石間
    (35)福山以遠(東福山・備後本庄方面)=新尾道・尾道以遠(糸崎方面) (タイプC)新尾道−福山(新幹線・福山・福塩線・芸備線・山陽線経由) 尾道・福山間
    (36)三原以遠(本郷・須波方面)=新尾道・尾道以遠(松永方面) (タイプC)新尾道−三原(新幹線・広島・芸備線・福塩線・山陽線経由) 尾道・三原間
    (38)三原以遠(糸崎・須波方面)=東広島・西条以遠(八本松方面) (タイプC)東広島−三原(新幹線・三原・呉線・山陽線経由) 西条・三原間
    (39)広島以遠(横川・矢賀方面)=東広島・西条以遠(西高屋方面) (タイプC)東広島−広島(新幹線・広島・芸備線・福塩線・山陽線経由) 西条・広島間
    (41)広島以遠(天神川・矢賀方面)=新岩国・岩国以遠(南岩国・西岩国方面) (タイプC)新岩国−広島(新幹線・広島・芸備線・三江線・山陰線・山口線・山陽線経由) 岩国・広島間
    (42)徳山以遠(新南陽方面)=新岩国・岩国以遠(和木方面) (タイプC)新岩国−徳山(新幹線・新山口・山口線・山陰線・三江線・芸備線・山陽線経由) 岩国・徳山間
    (46)博多南・博多以遠(吉塚・小倉方面)=新鳥栖・鳥栖以遠(肥前旭方面) 原田、(鳥栖) (タイプA)新鳥栖−新鳥栖(新幹線・博多・鹿児島線・篠栗線・筑豊線・鹿児島線・長崎線経由) 鳥栖・原田間
    (タイプC)新鳥栖−博多(新幹線・博多・鹿児島線・篠栗線・筑豊線・後藤寺線・日田彦山線・久大線・鹿児島線経由) 鳥栖・博多間
    (47)久留米以遠(荒木・久留米高校前方面)=新鳥栖・鳥栖以遠(田代方面) (タイプC)新鳥栖−久留米(新幹線・久留米・久大線・日田彦山線・後藤寺線・筑豊線・鹿児島線経由) 鳥栖・原田間
    (50)筑後船小屋以遠(羽犬塚方面)=新大牟田・大牟田以遠(荒尾方面) (タイプC)新大牟田−筑後船小屋(新幹線・久留米・久大線・豊肥線・鹿児島線経由) 大牟田・筑後船小屋間
    (51)筑後船小屋以遠(羽犬塚方面)=新玉名・玉名以遠(肥後伊倉方面) (タイプC)新玉名−筑後船小屋(新幹線・久留米・久大線・豊肥線・鹿児島線経由) 玉名・筑後船小屋間
    (53)熊本以遠(川尻・平成方面)=新大牟田・大牟田以遠(銀水方面) (タイプC)新大牟田−熊本(新幹線・熊本・豊肥線・久大線・鹿児島線経由) 大牟田・熊本間
    (54)熊本以遠(川尻・平成方面)=新玉名・玉名以遠(大野下方面) (タイプC)新玉名−熊本(新幹線・久留米・久大線・豊肥線・鹿児島線経由) 玉名・熊本間

    新在接続(通過・発着)型

    注:2014年4月1日の旅規改定で157条1号と2号が廃止され、このタイプの区間はなくなった。

    規則第16条の2第2項の新在別線区間のうち、新幹線の中間駅が並行在来線と接続する別の路線に設置されている区間の一部に設定されており、通過型と発着型の2タイプがある。ここでは、仙台・小牛田間と小牛田・一ノ関間の二つの新在接続(通過)型選択乗車区間を紹介する。
     

    (1) あおば通又は仙台以遠(東照宮、長町又は榴ケ岡方面)の各駅と小牛田以遠(田尻又は上涌谷方面)の各駅との相互間(東北本線経由、新幹線及び陸羽東線経由)
    (2) 小牛田以遠(松山町又は上涌谷方面)の各駅と一ノ関以遠(山ノ目又は真滝方面)の各駅との相互間(東北本線経由、新幹線及び陸羽東線経由)

    二つの新在接続(通過)型選択乗車区間を併用すれば、仙台−一ノ関の乗車券(新在の経由を問わず)で、仙台−古川−小牛田、小牛田−古川−一ノ関と乗り継ぐことが可能であり、小牛田・古川間が復乗となる。二つの新在接続(通過)型選択乗車区間が連続しているケースは、この区間だけである。


    大都市近郊区間の取扱

    2004年3月13日の旅規改正で、東京近郊区間内の新幹線がすべて大都市近郊区間から外れた。したがって100キロを超える東京近郊区間内の駅発着の乗車券(たとえば東京・高崎間、東京・宇都宮間、東京・熱海間など)について、在来線経由と新幹線経由で次のように取り扱いが異なることになった。なお、従来東京・大阪・福岡の大都市近郊区間内の新幹線のうち、東京・宇都宮間、大宮・高崎間、米原・新大阪間、西明石・相生間は近郊区間に含まれ、東京・熱海間、新大阪・西明石間、小倉・博多間は含まれていなかった。この改訂で米原・新大阪間及び西明石・相生間だけが、大都市近郊区間に残った。
     
    表3 大都市近郊区間の取扱
      新幹線経由 在来線経由
    有効期間 2日 1日
    途中下車 不可
    券面経路以外の選択乗車 不可
    乗り越し(山手線内通過の乗り越し) 打ち切り計算(出口駅からの運賃収受) 発駅からの差額計算

    しかし、新在同一扱いの原則および新在別線扱い区間の選択乗車の規則が存在するから、次のように、新幹線経由の乗車券を購入し在来線に乗車して途中下車するなど、目的にあわせて最適の発券方法をとることが可能である。

    例えば松戸・熱海間の新幹線経由の乗車券で、在来線に乗車し、在来線の駅(例えば大船、真鶴)で途中下車ができるか。新幹線経由の乗車券では、品川や小田原のような新在同一駅では可能であろうが、それ以外の駅ではどうだろう。しかし、大船で途中下車するときは、小田原まで在来線経由、小田原から熱海までを新幹線経由で発券すれば、大都市近郊区間相互発着にはならず途中下車可である。 真鶴の場合は、その逆に小田原まで新幹線、小田原から熱海を在来線経由とすればよい。もちろん、券面上新幹線経由の区間も在来線に乗車可能であり、全区間在来線を利用して途中下車ができることになる(こんな面倒をかけずとも、同じ運賃区分の函南まで購入すれば、在来線駅での途中下車が可能ではあるが)。

    一方、在来線経由の乗車券で新幹線に乗車した後、在来線の駅で途中下車することも可能である。山手線内−熱海(在来線経由)の乗車券で東京・小田原間を新幹線に乗車したのち、真鶴で途中下車できるか。実乗車経路どおりの乗車券ならば途中下車可能となるため、東京・小田原間について東海道経由から新幹線経由への区間変更(経路の変更)の取扱いをして、真鶴での途中下車を認めているようだ。


    新下関・博多間の特例

    三島会社の運賃制度改訂により新下関・博多間は新在別線となったが、規則第16条の3で「第26条の普通乗車券の発売」と「第68条第4項の旅客運賃計算上の営業キロ等の計算方」については、新在同一路線として取扱うと規定した。第26条第1号で片道乗車券は、「普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車船する場合に発売する。ただし、第68条第4項の規定により鉄道の営業キロ、擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切つて計算する場合は、当該打切りとなる駅までの区間のものに限り発売する」と規定され、これを受けた68条4項では、「環状線1周となる場合(1号)または折り返しとなる場合(2号)は、営業キロ、擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する」ことを定めている。したがって、新下関、小倉、博多の各駅で新幹線から在来線に折り返す場合はキロの通算が打ち切られ、当該打切り駅までしか片道乗車券は発売されない。

    普通乗車券の発売要件に関して、新下関・小倉・博多間を従来どおり新在同一扱いとするためには、第68条4項は上述した1号及び2号の規定で十分であった。しかし、第68条第4項第3号として、「新下関又は小倉、小倉又は博多で新幹線・在来線を相互に直接乗り継ぐ場合」の規定が新設されたことにより、新在をまたがった経路でこの区間を乗車するときに片道乗車券が発券できるという解釈が生じることとなった。まずは、条文を紹介する。

    (3) 新下関・博多間の新幹線の一部又は全部と同区間の山陽本線及び鹿児島本線の一部又は全部とを相互に直接乗り継ぐ場合は、次により計算する。
    ア 山陽本線中新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・小倉間の一部又は全部(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)と山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)とを新下関又は小倉で相互に直接乗り継ぐ場合は、新下関又は小倉で鉄道の営業キロ又は運賃計算キロを打ち切つて計算する。
    イ 鹿児島本線中小倉・博多間の一部又は全部(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)と鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)とを小倉又は博多で相互に直接乗り継ぐ場合、小倉又は博多で鉄道の営業キロ又は運賃計算キロを打ち切つて計算する。

    この「新下関、小倉または博多で新幹線と並行在来線を相互に直接乗り継ぐときは乗継駅で営業キロ又は運賃計算キロを打ちきる」という規定が「直接乗り継がないときは、(第68条第4項第1号または第2号の規定にかかわらず)乗継駅で営業キロ又は運賃計算キロを打ちきらずに、片道乗車券として発券できる」という解釈の余地を生み出したのである。

    ここで、直接乗り継ぐの解釈には、基準規程第43条の2、第116条及び第151条の3が関連している。これらの条項は、1996年1月の旅規改訂以前に存在していた西小倉・小倉間及び吉塚・博多間の分岐駅に係わる区間外乗車の規定の趣旨を引き継いだものである。煩雑になるが、基準規程は、JR各社のウェブに掲載されていないので、ここに引用する。

    (西小倉・小倉間及び吉塚・博多間の区間外乗車に係わる片道乗車券の発売方の特例)
    第43条の2 前条及び規則第26条の規定にかかわらず、南小倉以遠(城野方面)の各駅と博多以遠(竹下方面)の各駅相互間、柚須以遠(原町方面)の各駅と小倉以遠(門司方面)の各駅相互間又は南小倉以遠(城野方面)の各駅と柚須以遠(原町方面)の各駅相互間を乗車する旅客が、新幹線(小倉・博多間)に乗車する場合は、西小倉・小倉間又は吉塚・博多間において途中下車しない限り、当該区間の営業キロを除いた片道乗車券又は往復乗車券を発売する。

     (西小倉・小倉間及び吉塚・博多間の区間外乗車に係わる大人片道普通旅客運賃計算方の特例)
    第116条 第43条の2に規定する場合の大人片道普通旅客運賃は、西小倉・小倉間又は吉塚・博多間の営業キロを差し引いて計算するものとする。

     (西小倉・小倉間及び吉塚・博多間に係る区間外乗車の取扱いの特例)
    第151条の3 第116条の規定により発売した乗車券を所持する旅客が新幹線(小倉・博多間)に乗車する場合は、西小倉・小倉間又は吉塚・博多間において途中下車しない限り、別に旅客運賃を収受しないで当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。
    2 前項の規定は、次の各号に掲げる区間に有効な普通乗車券を所持する旅客が新幹線(小倉・博多間)に乗車する場合に準用する。
    (1) 南小倉以遠(城野方面)の各駅と博多以遠(竹下方面)の各駅相互間
    (2) 柚須以遠(原町方面)の各駅と小倉以遠(門司方面)の各駅相互間
    (3) 南小倉以遠(城野方面)の各駅と柚須以遠(原町方面)の各駅相互間

    最長片道切符の経路に関連して、この条項は注目を浴びることになった。 すなわち、規則第68条第4項第3号を「直接乗り継がないときは、新在は別線扱いとなり片道乗車券として発券できる」と解釈すれば、「小倉(新幹線)博多(鹿児島線)吉塚(篠栗線・香椎線)香椎(鹿児島線)西小倉(日豊線)」という、従来の同一路線扱いでは認められていなかった小倉・博多間で新幹線と在来線の双方を経由する経路が選択でき、最長片道切符のルートを延長できるのである。

    最長片道切符のルートを数学的に厳密な方法で求め、これを実践した葛西隆也氏のケースでは、上記の経路を含む片道乗車券が発売された。 基準規程第43条の2、第116条及び第151条の3の特例によって博多で「直接乗り継いでいない」ので、博多駅で打ち切らずに「新在別線」として扱われたようである。しかし、この区間を葛西氏に伴走した人は、博多駅ではなく、規則第68条4項1号にしたがって環状線一周となる鹿児島本線の香椎駅でキロを打ち切った連続乗車券が発券されたという。その乗車経路が葛西氏の最長片道切符の経路内であったであるにもかかわらず、片道乗車券にはならなかった。このように、第68条第4項第3号の解釈はJR各社間で統一されていない。

    また、葛西氏以前に最長片道切符旅行を行った脇坂健氏の場合は、葛西氏の経路よりも短い「小倉(新幹線)博多(鹿児島線)原田(筑豊線)桂川(篠栗線)吉塚(鹿児島線)折尾(筑豊線)新飯塚」というルートを選択した。脇坂氏も片道乗車券で、新幹線(小倉・博多間)と在来線(吉塚・折尾間)の双方に乗車できたことになる。脇坂氏は、葛西氏のルートを採用しなかった理由を「(片道切符として)発券できるとはいうものの、これでは、一部区間(博多・吉塚間)を復乗しなければ乗れない「片道切符」になってしまうから」と書いている。

    第68条第4項第3号は盲腸のような条項ではあるが、乗り継ぎ駅で新幹線から在来線に直接乗り継ぐ(=引き返す)場合について規定しているだけで、第68条第4項第1、2号の原則を否定しているわけではない。したがって、上記二氏のルートは、博多駅で直接乗り継いでいないのでそこで打ち切る必要はないが、第16条の3にしたがって新在を同一視した場合環状線一周となる香椎駅または吉塚駅で打ち切るという解釈が妥当と思う。

    NHKは、2004年5月6日からBSで、「列島縦断鉄道12000キロの旅〜最長片道切符でゆく42日〜」を生中継で放映した。NHKの最長片道ルートの選定には葛西氏が協力しているが、新幹線と在来線を同一線として扱う解釈をとり、小倉−博多間で新幹線を使用していない。

    それぞれのルートを図3に示す[2]

    図3 最長片道切符の九州ルート

    葛西氏ルート(2000年)
    脇坂氏ルート(1999-2000年)
    NHKルート(2004年)


    新在別線の原則に

    さてこのような新幹線と並行在来線にかかわる旅規の矛盾を解消する方法を考えてみたい。新在別線の原則への変更がその解答である。

    もともと、1964年の東海道新幹線開業時に、新幹線と在来線を同一路線と扱うことにしたのは、新幹線の運賃を在来線の営業キロで計算するための苦肉の策だった。この虚構がほころび始めたのは、1987年の国鉄分割民営化により並行する路線の事業者が異なった区間が生じてからである。1996年の三島会社の運賃制度改訂により新下関・博多間の新在の運賃が異なることとなったため、別線とせざるを得なくなった。なお、1997年の北陸(長野)新幹線開業以降は、並行在来線は第三セクターに移管され、新幹線の営業キロは実キロが適用されるようになった。

    会社ごとに別路線というのが、旅客会社が期待する方向であろう。 周遊きっぷの往復券では、東海道新幹線利用の割引率が異なり、東海道在来線経由の乗車券では新幹線に乗車できないように改正された。周遊区間の細分化も旅客会社間の取り分を明確にしようと言う動きからである。しかしJR発足時の公約(分割しても全国ネットワークは維持、運賃も通算)から、完全分離というわけにもいかず、現在はこの混沌とした状態が続いている。

    公約を維持しながら、新在別線の原則に営業規則を改正し、これらの矛盾は解消できるのではないかと考える。改正案の骨子は、次のとおりである。

    1. 新幹線と並行在来線はすべての並行区間において別線として扱う。

    規則第16条の2及び第16条の4を削除し、全ての区間で新幹線と並行在来線を別線とすることにより、東京−静岡−草薙のような片道乗車券による新幹線から在来線を乗り継いで発駅方向への折返しを、東京−浜松−天竜川など、全区間に適用することができる。

    なお、JR九州の下関・博多間の賃率を本州会社と同一に戻し、新在の運賃格差を解消することにより、第16条の3も削除する。「JRの運賃計算ルールは複雑すぎる」に書いたように、この区間はJR九州が企画乗車券で割引運賃を設定しているドル箱路線であり、本州三社に比べて割高な賃率を適用する必要はない。新幹線と並行在来線を別線扱いにしても、2、3項で述べるように第69条に準じた特定区間とし、選択乗車を認めるから、往復割引乗車券で異経路を乗車できる。

    なお、すべて新在別線となるから、第68条第4項3号も廃止する。最長片道切符は、葛西氏の九州内経路が取れ、現在同一路線扱いとなっている区間が別線となるので更に長くなる可能性がある。

    2. 新幹線と並行在来線により環状線が形成される区間は、規則第69条に準じた特定区間とする。

    規則第69条の2として、次の条項を新設する。

    第69条の2 第67条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間の普通旅客運賃・料金は、その旅客運賃・料金計算経路が当該各号末尾のかつこ内の両線路にまたがる場合を除いて、○印の経路の営業キロによつて計算する。この場合、第1号、第2号、第3号、第12号、第13号、第26号及び第27号の区間内を除いて、経路の指定を行わない。
    (1) 東京以遠(神田、上野、新日本橋又は八丁堀方面)の各駅と、品川以遠(大井町、西大井、新横浜又は大崎方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (2)* 品川以遠(田町、東京又は大崎方面)の各駅又は西大井若しくは新川崎と、小田原以遠(早川又は熱海方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (3) 小田原以遠(鴨宮又は新横浜方面)の各駅と、熱海以遠(函南、三島又は来宮方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (4) 熱海以遠(湯河原、小田原又は来宮方面)の各駅と、三島以遠(沼津又は新富士方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (5)* 三島以遠(函南又は熱海方面)の各駅と、静岡以遠(安倍川又は掛川方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (6) 静岡以遠(東静岡又は新富士方面)の各駅と、掛川以遠(愛野又は浜松方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (7) 掛川以遠(菊川又は静岡方面)の各駅と、浜松以遠(高塚又は豊橋方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (8) 浜松以遠(天竜川又は掛川方面)の各駅と、豊橋以遠(西小坂井、三河安城又は船町方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (9) 豊橋以遠(二川、浜松又は船町方面)の各駅と、三河安城以遠(東刈谷又は名古屋方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (10)三河安城以遠(安城又は豊橋方面)の各駅と、名古屋以遠(枇杷島、岐阜羽島又は八田方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (11)*名古屋以遠(尾頭橋、三河安城又は八田方面)の各駅と、米原以遠(彦根、京都又は坂田方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (12)*米原以遠(醒ヶ井、岐阜羽島又は坂田方面)の各駅と、京都以遠(西大路、新大阪、丹波口又は東福寺方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (13)京都以遠(山科、米原、丹波口又は東福寺方面)の各駅と、新大阪以遠(大阪又は新神戸方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線、東海道本線(新幹線))
    (14)*新大阪以遠(東淀川又は京都方面)の各駅と、西明石以遠(大久保又は姫路方面)の各駅との相互間
    (○東海道本線・山陽本線、東海道本線(新幹線))
    (15)西明石以遠(明石又は新神戸方面)の各駅と、姫路以遠(英賀保、相生、京口又は播磨高岡方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (16)姫路以遠(御着、西明石、京口又は播磨高岡方面)の各駅と、相生以遠(有年、岡山又は西有年方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (17)相生以遠(竜野、姫路又は西有年方面)の各駅と、岡山以遠(北長瀬、新倉敷、法界院、備前三門又は大元方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (18)岡山以遠(高島、相生、法界院、備前三門又は大元方面)の各駅と、新倉敷以遠(金光又は福山方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (19)新倉敷以遠(西阿知又は岡山方面)の各駅と、福山以遠(備後赤坂、新尾道又は備後本庄方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (20)*福山以遠(東福山、新倉敷又は備後本庄方面)の各駅と、三原以遠(本郷、東広島又は須波方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (21)*三原以遠(糸崎、新尾道又は須波方面)の各駅と、広島以遠(横川、新岩国又は矢賀方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (22)*広島以遠(天神川、東広島又は矢賀方面)の各駅と、徳山以遠(新南陽又は新山口方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (23)徳山以遠(櫛ヶ浜又は新岩国方面)の各駅と、新山口以遠(嘉川、厚狭、上郷又は上嘉川方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (24)新山口以遠(四辻、徳山、上郷又は上嘉川方面)の各駅と、厚狭以遠(埴生、新下関又は湯ノ峠方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (25)厚狭以遠(小野田、新山口又は湯ノ峠方面)の各駅と、新下関以遠(幡生又は小倉方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (26)新下関以遠(長門本山又は厚狭方面)の各駅と、小倉以遠(西小倉又は博多方面)の各駅との相互間
    (○山陽本線、山陽本線(新幹線))
    (27)小倉以遠(門司又は新下関方面)の各駅と、博多以遠(博多南又は竹下方面)の各駅との相互間
    (○鹿児島本線、鹿児島本線(新幹線))
    (28)東京以遠(有楽町、品川、新日本橋又は八丁堀方面)の各駅と、上野以遠(鶯谷又は大宮方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (29)上野以遠(御徒町又は東京方面)の各駅と、大宮以遠(土呂、小山、宮原、熊谷又は日進方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (30)大宮以遠(さいたま新都心、北与野、上野、宮原、熊谷又は日進方面)の各駅と、小山以遠(小金井、宇都宮、思川又は小田林方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (31)小山以遠(間々田、大宮、思川又は小田林方面)の各駅と、宇都宮以遠(岡本、那須塩原又は鶴田方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (32)宇都宮以遠(雀宮、小山又は鶴田方面)の各駅と、那須塩原以遠(黒磯又は新白河方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (33)那須塩原以遠(又は宇都宮以方面)の各駅と、新白河以遠(又は郡山方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (34)新白河以遠(白坂又は那須塩原方面)の各駅と、郡山以遠(日和田、福島、舞木又は喜久田方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (35)郡山以遠(安積永盛、新白河、舞木又は喜久田方面)の各駅と、福島以遠(東福島、新白石又は笹木野方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (36)*福島以遠(南福島、郡山又は笹木野方面)の各駅と、あおば通又は仙台以遠(東仙台、古川、東照宮又は榴ヶ岡方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (37)*あおば通又は仙台以遠(長町、新白石、東照宮又は榴ヶ岡方面)の各駅と、一ノ関以遠(山ノ目、水沢江刺又は真滝方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (38)*一ノ関以遠(有壁、くりこま高原又は真滝方面)の各駅と、北上以遠(村崎野、新花巻又は柳原方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (39)*北上以遠(六原、水沢江刺又は柳原方面)の各駅と、盛岡以遠(いわて沼宮内、大釜又は上盛岡方面)の各駅との相互間
    (○東北本線、東北本線(新幹線))
    (40)大宮以遠(さいたま新都心、上野、土呂又は小山方面)の各駅と、熊谷以遠(籠原又は本庄早稲田方面)の各駅との相互間
    (○高崎線、高崎線(新幹線))
    (41)*熊谷以遠(行田又は大宮方面)の各駅と、高崎以遠(高崎問屋町、上毛高原、北高崎又は安中榛名方面)の各駅との相互間
    (○高崎線、高崎線(新幹線))
    (42)*高崎以遠(倉賀野、本庄早稲田、北高崎又は安中榛名方面)の各駅と、越後湯沢以遠(石打、ガーラ湯沢又は浦佐方面)の各駅との相互間
    (○上越線、上越線(新幹線))
    (43)越後湯沢以遠(岩原スキー場前、ガーラ湯沢又は上毛高原方面)の各駅と、浦佐以遠(八色又は長岡方面)の各駅との相互間
    (○上越線、上越線(新幹線))
    (44)浦佐以遠(五日町又は越後湯沢方面)の各駅と、長岡以遠(北長岡又は燕三条方面)の各駅との相互間
    (○上越線、上越線(新幹線))
    (45)*長岡以遠(宮内又は浦佐方面)の各駅と、新潟以遠(東新潟又は白山方面)の各駅との相互間
    (○信越本線、信越本線(新幹線))
    (46)*博多南又は博多以遠(吉塚又は小倉方面)の各駅と、久留米以遠(荒木、筑後船小屋又は久留米高校前方面)の各駅との相互間
    (○鹿児島本線、鹿児島本線(新幹線))
    (47)久留米以遠(肥前旭、新鳥栖又は久留米高校前方面)の各駅と、筑後船小屋以遠(又は新大牟田方面)の各駅との相互間
    (○鹿児島本線、鹿児島本線(新幹線))
    (48)*筑後船小屋以遠(羽犬塚又は久留米方面)の各駅と、熊本以遠(川尻、新八代又は平成方面)の各駅との相互間
    (○鹿児島本線、鹿児島本線(新幹線))
    (49)熊本以遠(上熊本、新玉名又は平成方面)の各駅と、新八代以遠(八代又は新水俣方面)の各駅との相互間
    (○鹿児島本線、鹿児島本線(新幹線))
    (50)川内以遠(出水方面)の各駅と、鹿児島中央以遠(郡元又は鹿児島方面)の各駅との相互間
    (○鹿児島本線、鹿児島本線(新幹線))
    (51)諫早以遠(東諌早又は岩松方面)の各駅と、長崎駅との相互間
    (○長崎本線、長崎本線(新幹線))

    *は現在の第16条の2第2項による別線扱い区間で、一ノ関・北上間を除き、新在別線通過型選択乗車区間となっている。第69条の特定区間は経路を指定しないが、新幹線と並行在来線については、運賃配分のため、会社が異なる区間に限って経路を指定することにした。

    なお、新幹線の営業キロを並行在来線に一致させる方針を貫く限り、「○印の経路(在来線)の営業キロによつて計算する」とする意味はない。しかし第69条特定区間の東京・蘇我間が京葉線経由でも同じ営業キロなのに、総武本線・外房線経由の営業キロで計算するとされていることから、これにあわせた。 また、上記第2号の品川・小田原間、第21号の三原・広島間、第22号の広島・徳山間及び第29号の上野・大宮間は、それぞれの区間内に、69条の特定区間である品川・鶴見間(西大井経由、○大井町経由)、三原・海田市間(呉線経由、○山陽本線経由)、岩国・櫛ヶ浜間(山陽本線経由、○岩徳線経由)、赤羽・大宮間(戸田公園・与野本町経由、○川口・浦和経由)を含む。したがって、広島・徳山間は、岩徳線の運賃計算キロで計算した山陽本線経由のキロによって、運賃・料金が計算される。

    3. 第69条の2の特定区間については、大都市近郊区間相互発着の乗車券を除き、新幹線と在来線の選択乗車を認める。

    第158条の2を以下のとおり新設して、第69条の2の特定区間についても、第69条の特定区間と同様、運賃計算経路以外の他経路の乗車(新幹線→在来線)を認める。ただし、新幹線はすべて大都市市近郊区間から除き、大都市市近郊区間内相互発着の乗車券については新在の選択乗車を認めない。

    第158条の2 第69条の2の規定により発売した普通乗車券を所持する旅客は、大都市近郊区間内の駅相互発着の普通乗車券を使用する場合を除き、同条各号の規定の末尾に記載されたかつこ内の○印のない経路をう回して乗車することができる。
    2 第69条の2各号の区間内において2枚以上の普通乗車券を併用して乗車する旅客は、その券面に表示された経路にかかわらず、同号かつこ内の他方の経路を乗車することができる。ただし、他方の経路の乗車中においては、途中下車をすることができない。

    大都市近郊区間では選択乗車を認めないことにより、発売した乗車券を基準にして、有効日数、途中下車・う回乗車の可否、乗り越し時の精算方法を適用する。

    第158条の2を新設し、第157条の選択乗車区間から、新在別線通過型選択乗車区間を削除する。これによって、新幹線と並行在来線の双方にまたがる乗車券で、新幹線と在来線の選択乗車により在来線を復乗することが排除できる。先にあげた甲府−浜松(身延・東海・御殿場・小田原・新幹線経由)の片道乗車券は、三島・静岡間で在来線と新幹線にまたがっているので、第69条の2の規定により発売した普通乗車券とはならず、富士・沼津間の在来線が復乗となる選択乗車は認められない。

    4. 幹独立駅発着型選択乗車区間は、第157条の選択乗車区間として存続するが、復乗を排除する規定を付け加える。

    この際、新幹線独立駅での発着に限定せず、通過型選択乗車区間の中間の新在対応駅で、新幹線・在来線の相互乗り継ぎを認めるように改定する。その結果、第157条の新在別線関連の選択乗車区間は、以下のとおりとなる(赤字は現行条文の変更部分。取消し線は2014年4月1日廃止の選択乗車区間)。

    (1) あおば通又は仙台以遠(東照宮、長町、白石蔵王又は榴ケ岡方面)の各駅と小牛田以遠(田尻又は上涌谷方面)の各駅との相互間(東北本線経由、新幹線及び陸羽東線経由)(2014年4月1日廃止)
    (2) 小牛田以遠(松山町又は上涌谷方面)の各駅と一ノ関以遠(山ノ目又は真滝方面)の各駅との相互間(東北本線経由、新幹線及び陸羽東線経由)(2014年4月1日廃止)
    (1) あおば通又は仙台以遠(東照宮、長町又は榴ケ岡方面)の各駅と一ノ関以遠(山ノ目又は真滝方面)の各駅との相互間(仙台・小牛田間、仙台・古川間)(一ノ関・小牛田間、一ノ関・古川間)(第69条の2に移行)
    (4) あおば通又は仙台以遠(東照宮、長町、白石蔵王又は榴ケ岡方面)の各駅と小牛田・古川間の各駅との相互間(東北本線経由、新幹線経由)。この場合、乗車券の券面に表示された経路以外の小牛田・古川間内では、途中下車の取扱いをしない。(2014年4月1日廃止)
    (2) 北上以遠(六原又は柳原方面)の各駅と、盛岡以遠(いわて沼宮内、大釜又は上盛岡方面)の各駅との相互間(北上・花巻間、北上・新花巻間)(盛岡・花巻間、盛岡・新花巻間)(第69条の2に移行)
    (*) 北上以遠(六原、水沢江刺又は柳原方面)の各駅と、新花巻以遠(北上方面)又は花巻以遠(村崎野方面)の各駅との相互間(北上・花巻間、北上・新花巻間)
    (5)の2 盛岡以遠(いわて沼宮内、大釜又は上盛岡方面)の各駅と、新花巻以遠(北上方面)又は花巻以遠(村崎野方面)の各駅との相互間(盛岡・花巻間、盛岡・新花巻間)(2014年4月1日廃止)
    (3) 一ノ関以遠(有壁、くりこま高原又は真滝方面)の各駅と水沢江刺以遠(北上方面)又は水沢以遠(金ケ崎方面)の各駅との相互間(一ノ関・水沢間、一ノ関・水沢江刺間)
    (4) 北上以遠(村崎野、新花巻又は柳原方面)の各駅と水沢江刺以遠(一ノ関方面)又は水沢以遠(陸中折居方面)の各駅との相互間(北上・水沢間、北上・水沢江刺間)
    (8) 一ノ関以遠(山ノ目、北上又は真滝方面)の各駅と小牛田・古川間の各駅との相互間(東北本線経由、新幹線経由)。この場合、乗車券の券面に表示された経路以外の小牛田・古川間内では、途中下車の取扱いをしない。(2014年4月1日廃止)
    (5) あおば通又は仙台以遠(東照宮、長町又は榴ケ岡方面)の各駅と一ノ関以遠(山ノ目又は真滝方面)の各駅との相互間(仙台・新田間、仙台・くりこま高原間)(一ノ関・新田間、一ノ関・くりこま高原間)(第69条の2に移行)
    (6)あおば通又は仙台以遠(東照宮、長町、白石蔵王又は榴ケ岡方面)の各駅とくりこま高原以遠(一ノ関方面)又は新田以遠(石越方面)の各駅との相互間(仙台・新田間、仙台・くりこま高原間
    (7)一ノ関以遠(山ノ目、北上又は真滝方面)の各駅とくりこま高原以遠(古川方面)又は新田以遠(梅ケ沢方面)の各駅との相互間(一ノ関・新田、一ノ関・くりこま高原間)
    (8)小牛田以遠(松山町、仙台又は上涌谷方面)の各駅とくりこま高原以遠(一ノ関方面)又は新田以遠(石越方面)の各駅との相互間(小牛田・くりこま高原間、小牛田・新田間)
    (9) 福島以遠(南福島又は笹木野方面)の各駅とあおば通又は仙台以遠(東照宮、東仙台又は榴ケ岡方面)の各駅との相互間(福島・白石間、福島・白石蔵王間)(仙台・白石間、仙台・白石蔵王間)(第69条の2に移行)
    (10)福島以遠(南福島、郡山又は笹木野方面)の各駅と白石蔵王以遠(仙台方面)又は白石以遠(東白石方面)の各駅との相互間(福島・白石間、福島・白石蔵王間)
    (11)あおば通又は仙台以遠(東照宮、東仙台、古川又は榴ケ岡方面)の各駅と白石蔵王以遠(福島方面)又は白石以遠(越河方面)の各駅との相互間(仙台・白石間、仙台・白石蔵王間)
    (12)長岡以遠(宮内方面)の各駅と新潟以遠(白山又は東新潟方面)の各駅との相互間(長岡・燕三条間、長岡・東三条間)(新潟・燕三条間、新潟・東三条間)(第69条の2に移行)
    (13)高崎以遠(倉賀野、北高崎又は安中榛名方面)の各駅と越後湯沢以遠(石打又はガーラ湯沢方面)の各駅との相互間(高崎・後閑間、高崎・上毛高原間)(越後湯沢・後閑間、越後湯沢・上毛高原間)(第69条の2に移行)
    (14)越後湯沢以遠(石打、浦佐又はガーラ湯沢方面)の各駅と上毛高原以遠(高崎方面)又は後閑以遠(沼田方面)の各駅との相互間(越後湯沢、後閑間、越後湯沢・上毛高原間)
    (15)高崎以遠(倉賀野、本庄早稲田、北高崎又は安中榛名方面)の各駅と上毛高原以遠(越後湯沢方面)又は後閑以遠(上牧方面)の各駅との相互間(高崎・後閑間、高崎・上毛高原間)
    (16)熊谷以遠(行田方面)の各駅と高崎以遠(高崎問屋町、北高崎又は安中榛名方面)の各駅との相互間(熊谷・本庄間、熊谷・本庄早稲田間)(高崎・本庄間、高崎・本庄早稲田間)(第69条の2に移行)
    (17)熊谷以遠(行田又は大宮方面)の各駅と本庄早稲田以遠(高崎方面)又は本庄以遠(神保原方面)の各駅との相互間(熊谷・本庄間、熊谷・本庄早稲田間)
    (18)高崎以遠(高崎問屋町、上毛高原、北高崎又は安中榛名方面)の各駅と本庄早稲田以遠(熊谷方面)又は本庄以遠(岡部方面)の各駅との相互間(高崎・本庄間、高崎・本庄早稲田間)
    (19)小田原以遠(早川又は熱海方面)の各駅と横浜・新横浜間の各駅との相互間(東海道本線経由、新幹線経由)。この場合、乗車券の券面に表示された経路以外の横浜・新横浜間内では、途中下車の取扱いをしない。
    (20)品川以遠(田町、大崎又は西大井方面)の各駅と、小田原以遠(早川方面)の各駅との相互間(品川・横浜間、品川・新横浜間)(小田原・横浜間、小田原・新横浜間)(第69条の2に移行)
    (21)小田原以遠(早川又は熱海方面)の各駅と、東神奈川以遠(新子安方面)の各駅との相互間(東海道本線経由、新幹線及び横浜線経由)
    (22)小田原以遠(早川又は熱海方面)の各駅と、東神奈川以遠(新子安方面)の各駅との相互間(東海道本線経由、新幹線及び横浜線経由)
    (23)三島以遠(函南又は熱海方面)の各駅と、新富士以遠(静岡方面)又は富士以遠(富士川又は柚木方面)の各駅との相互間(三島・富士間、三島・新富士間)
    (24)静岡以遠(安倍川又は掛川方面)の各駅と、新富士以遠(三島方面)又は富士以遠(吉原又は柚木方面)の各駅との相互間(静岡・富士間、静岡・新富士間)
    (25)三島以遠(函南方面)の各駅と、静岡以遠(安倍川方面)の各駅との相互間(三島・富士間、三島・新富士間)(静岡・富士間、静岡・新富士間)(第69条の2に移行)
    (26)名古屋以遠(尾頭橋、三河安城又は八田方面)の各駅と、岐阜羽島以遠(米原方面)又は岐阜以遠(西岐阜又は長森方面)の各駅との相互間(名古屋・岐阜間、名古屋・岐阜羽島間)。ただし、金山・名古屋間各駅と岐阜の相互間発着及び金山・名古屋間各駅と岐阜羽島の相互間発着となるものを除く。
    (27)米原以遠(彦根、京都又は坂田方面)の各駅と、岐阜羽島以遠(名古屋方面)又は岐阜以遠(木曽川又は長森方面)の各駅との相互間(米原・岐阜間、米原・岐阜羽島間)
    (28)名古屋以遠(尾頭橋又は八田方面)の各駅と、米原以遠(彦根又は坂田方面)の各駅との相互間(名古屋・岐阜間、名古屋・岐阜羽島間)(米原・岐阜間、米原・岐阜羽島間)(第69条の2に移行)
    (29)大阪以遠(天満又は福島方面)の各駅と、西明石以遠(大久保方面)の各駅との相互間(東海道本線及び山陽本線経由、新幹線経由)。この場合、乗車券の券面に表示された経路以外の区間内では途中下車の取扱いをしない。
    (30)新大阪以遠(東淀川方面)の各駅と、西明石以遠(大久保方面)の各駅との相互間(新大阪・三ノ宮又は神戸間、新大阪・新神戸間)(西明石・神戸又は三ノ宮間、西明石・新神戸間)(第69条の2に移行)
    (31)新大阪以遠(東淀川又は京都方面)の各駅と、新神戸以遠(西明石方面)又は三ノ宮、元町若しくは神戸以遠(兵庫方面)の各駅との相互間(新大阪・三ノ宮又は神戸間、新大阪・新神戸間)
    (32)西明石以遠(大久保方面)の各駅と、新神戸以遠(新大阪方面)又は神戸、元町若しくは三ノ宮以遠(灘方面)の各駅との相互間(西明石・神戸又は三ノ宮間、西明石・新神戸間)
    (35)福山以遠(東福山、新倉敷又は備後本庄方面)の各駅と、新尾道以遠(三原方面)又は尾道以遠(糸崎方面)の各駅との相互間(福山・尾道間、福山・新尾道間)
    (36)三原以遠(本郷、東広島又は須波方面)の各駅と、新尾道以遠(福山方面)又は尾道以遠(松永方面)の各駅との相互間(三原・尾道間、三原・新尾道間)
    (37)福山以遠(東福山又は備後本庄方面)の各駅と、三原以遠(本郷又は須波方面)の各駅との相互間(福山・尾道間、福山・新尾道間)(三原・尾道間、三原・新尾道間)(第69条の2に移行)
    (38)三原以遠(糸崎、新尾道又は須波方面)の各駅と、東広島以遠(広島方面)又は西条以遠(八本松方面)の各駅との相互間(三原・西条間、三原・東広島間)
    (39)広島以遠(横川、新岩国又は矢賀方面)の各駅と、東広島以遠(三原方面)又は西条以遠(西高屋方面)の各駅との相互間(広島・西条間、広島・東広島間)
    (40)三原以遠(糸崎又は須波方面)の各駅と、広島以遠(横川又は矢賀方面)の各駅との相互間(三原・西条間、三原・東広島間)(広島・西条間、広島・東広島間)(第69条の2に移行)
    (41)広島以遠(天神川東広島又は矢賀方面)の各駅と、新岩国以遠(徳山方面)又は岩国以遠(南岩国又は西岩国方面)の各駅との相互間(広島・岩国間、広島・新岩国間)
    (42)徳山以遠(新南陽又は新山口方面)の各駅と、新岩国以遠(広島方面)又は岩国以遠(大竹方面)の各駅との相互間(徳山・岩国間、徳山・新岩国間)
    (43)広島以遠(天神川又は矢賀方面)の各駅と、徳山以遠(新南陽方面)の各駅との相互間(広島・岩国間、広島・新岩国間)(徳山・岩国間、徳山・新岩国間)(第69条の2に移行)
    (46)博多南又は博多以遠(吉塚又は小倉方面)の各駅と、新鳥栖以遠(久留米方面)又は鳥栖以遠(肥前旭方面)の各駅との相互間(博多・鳥栖間、博多・新鳥栖間)
    (47)久留米以遠(荒木、新鳥栖又は久留米高校前方面)の各駅と、新鳥栖以遠(博多方面)又は鳥栖以遠(田代方面)の各駅との相互間(久留米・鳥栖間、久留米・新鳥栖間)
    (48)博多南又は博多以遠(吉塚又は小倉方面)の各駅と、久留米以遠(荒木又は久留米高校前方面)の各駅との相互間(博多・鳥栖間、博多・新鳥栖間)(久留米・鳥栖間、久留米・新鳥栖間)(第69条の2に移行)
    (49)筑後船小屋以遠(羽犬塚方面)の各駅と、熊本以遠(川尻又は平成方面)の各駅との相互間(筑後船小屋・大牟田間、筑後船小屋・新大牟田間)(大牟田・玉名間、新大牟田・新玉名間)(熊本・玉名間、熊本・新玉名間)(第69条の2に移行)
    (50)筑後船小屋以遠(羽犬塚又は久留米方面)の各駅と、新大牟田以遠(新玉名方面)又は大牟田以遠(荒尾方面)の各駅との相互間(筑後船小屋・大牟田間、筑後船小屋・新大牟田間)
    (51)筑後船小屋以遠(羽犬塚又は久留米方面)の各駅と、新玉名以遠(熊本方面)又は玉名以遠(肥後伊倉方面)の各駅との相互間(筑後船小屋・大牟田間、筑後船小屋・新大牟田間)(大牟田・玉名間、新大牟田・新玉名間)
    (52)大牟田以遠(銀水方面)の各駅と、玉名以遠(肥後伊倉方面)の各駅との相互間又は新大牟田・新玉名間(大牟田・玉名間、新大牟田・新玉名間)
    (53)熊本以遠(川尻、新八代又は平成方面)の各駅と、新大牟田以遠(筑後船小屋方面)又は大牟田以遠(銀水方面)の各駅との相互間(熊本・玉名間、熊本・新玉名間)(玉名・大牟田間、新玉名・新大牟田間)
    (54)熊本以遠(川尻、新八代又は平成方面)の各駅と、新玉名以遠(新大牟田方面)又は玉名以遠(大野下方面)の各駅との相互間(熊本・玉名間、熊本・新玉名間)

    現行の選択乗車区間の第2号は、「北上以遠(六原又は柳原方面)の各駅と、盛岡以遠(いわて沼宮内、大釜又は上盛岡方面)の各駅との相互間(北上・花巻間、北上・新花巻間)(盛岡・花巻間、盛岡・新花巻間)」であるが、これを第69条の2の特定区間に移管するにあたり、中間の新在対応駅である花巻・新花巻で新幹線・在来線の相互乗り継ぎを認めるために(*)を加える。また、第35号と第36号は、現行の第38号「新大阪以遠(東淀川方面)の各駅と、西明石以遠(大久保方面)の各駅との相互間(新大阪・三ノ宮又は神戸間、新大阪・新神戸間)(西明石・神戸又は三ノ宮間、西明石・新神戸間)」の規定を反映して修正した。

    復乗排除の規定は、第157条第1項本文に次の赤字部分を追加することにする。

    第157条 旅客は、次の各号に掲げる各駅相互間(略図中の〓線区間以遠の駅と━線区間以遠の駅若しくは◎印駅相互間)を、普通乗車券又は普通回数乗車券(いずれも併用となるものを含む。)によつて旅行する場合は、その所持する乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、各号の末尾に記載した同一かつこ内の区間又は経路のいずれか一方を選択して乗車することができる。ただし、選択乗車の結果乗車経路が環状線一周となる場合又は乗車経路の一部若しくは全部が復乗となる場合を除く。また2枚以上の普通乗車券又は普通回数乗車券を併用して使用する場合は、他方の経路の乗車中においては途中下車をすることができない。

    新富士−御殿場(新幹線・小田原・東海・相模・中央東・身延・東海経由)の片道乗車券で、選択乗車により新富士・三島間のかわりに富士駅から在来線に乗車(富士・三島間)することは、身延線で富士に戻った時点で環状線一周となるため認められない。いかがだろうか。


    [1] JRの路線名は、各社が定めて公告した「線路名称」と鉄道事業法に基づき国土交通省が「許可」(JR発足当時は「免許」)した路線名の2種類がある。前者は、鉄道院時代の1909年10月12日に制定された部線体系の「国有鉄道線路名称」に由来し、以後国鉄、JRに継承されてきた。後者は、1981年3月11日公布・施行の「日本国有鉄道経営再建特別措置法施行令」の別表1(将来JR各社が国鉄から承継する線名・区間)が起源であり、JR発足時にこれを「事業基本計画」として運輸大臣に提出することにより、鉄道事業法に基づく免許を受けたものとみなされた。両者の線名・区間は、新幹線名の表記のほか、次の点が異なっている。「鉄道要覧」に記載されている線名は後者のものであるが、掲載の順序は線路名称順である。
    線路名称 事業基本計画
    路線名 本線、線 *JR四国は、線に一本化 線のみ
    掲載順 部線(本線、線)順 五十音順
    起終点 本線から分岐する駅が起点 東京からの距離が短い駅が起点
    [2] 2011年3月12日の九州新幹線博多・新八代間開業によって、最長片道切符の九州北部ルートが変更になった。最長片道切符ルートの変遷2011年3月12日の項参照


    改訂履歴
    2004/03/15: 2004/03/13の九州新幹線及び上越新幹線本庄早稲田駅の開業に伴う旅規改訂を反映(赤字で注記)
    2004/04/19: 「新下関・博多間の特例」を加筆
    2004/05/22: 2004/03/13の旅規改訂を本文中に反映し、「大都市近郊区間の取扱」を改訂。 「新下関・博多間の特例」に「NHK列島縦断鉄道12000キロの旅」のルートを加筆。
    2004/11/29: 引用と表のスタイル変更
    2004/12/28: 「新下関・博多間の特例」を加筆
    2006/07/13: 他のページの表現に合わせて、「幹在」を「新在」に変更。「新下関・博多間の特例」の脇坂氏の項を改訂、リンクを更新。「新在別線の原則に」に旅規の改訂案(69条の2)を掲載し、大幅に加筆
    2006/10/21: 目次の設置
    2009/01/31: 読者の指摘を受け誤記等を訂正
    2012/03/14: 東北新幹線新青森延伸開業(2010/12/04)、九州新幹線全通開業(2011/03/12)に伴う旅規改定を反映。新在別線の選択乗車により復乗(または環状線一周)となる例をパターン化し、その全区間を掲載。全体的に加筆し、脚注を挿入。条文引用のスタイルを変更
    2015/03/19: 2015/03/14の旅規改定の条文変更を反映。2014/04/01の旅規改定で第157条第1、2号が削除されたのに伴い「選択乗車による復乗」の「新在接続(通過・発着)型」に注記。またこれに伴い、表1、表2及び「新在別線の原則に」の「4.幹独立駅発着型選択乗車区間は、第157条の選択乗車区間として存続するが、復乗を排除する規定を付け加える。 」の号番号を訂正
    2022/05/01: 「旅客営業規則の条項」の整備新幹線の条文第16条の4を訂正(2016/03/26改定で北海道新幹線が追加されたが反映していなかった)
    2022/09/22: 9月23日の西九州新幹線開業に伴う旅規改定を「旅客営業規則の条項」に反映。新在別線に基づく旅規の改定案(第69条の2)に第51号(諫早・長崎間)を追加

    初出 2003/11/20 
    最終更新 2022/09/22
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